「なぜ相談してくれなかったの…? 」子がSOSを出すには認めてくれる人の存在が必要

コノコト コノコト

我が子が悩んでいたことを後になって知り、「なぜその時に話してくれなかったの…」と落ち込んだ経験はありませんか。子どもが親に対してSOS行動を起こすためには、親に限らず「自分を認めてくれる人の存在」と「自己肯定感情」が重要な役割を果たすことが富山大学の研究で分かりました。

親への相談を促すのは?

富山大学医学系疫学・健康政策学講座の立瀬剛志助教(公衆衛生学精神保健分野)らのグループは、親への悩み相談と自己肯定感情の関係性を検証しようと、高校生の健康調査データを分析しました。

(分析には、子どもの生活習慣と心身の健康との関係を調査した研究「富山スタディ」のデータのうち、2005年当時の富山県内の高校1年生5874人分のデータを使用しました。)

「得意なことがある」「楽しいことがある」「認めてくれる人がいる」などの自己肯定感情を支える要素と、親への相談がどう関係するかを分析しました。

大事な「認めてくれる人」

その結果、「親にいろんなことを相談する」という行動に直接関連した因子は「良いところを認めてくれる人が多いこと」と「自己肯定感情が高いこと」で、どちらも親への相談をプラスに促しました。認めてくれる人の存在は、直接的に、または自己肯定感情を通して間接的に親への相談行動と関連していることが分かりました。

また、「イライラする」も親への相談に直接的に関係しました。(イメージ図参照)

この他の選択項目にあった「仲が良い友達の多さ」や「助けてもらった頻度」といった因子は親への相談と関連がみられませんでした。

「イライラする」が親への相談に関連していることから、立瀬助教は「青少年期の日常的なイライラを上手に相談に結び付けられるかどうかも鍵になる」と話します。

周りの大人が理解者に

困ったときに一人で抱え込まず誰かに相談するには、「自分はできる」よりも「自分が好きだ」「まんざらでもないかな」という自己受容の自己肯定感情が育まれているかどうかがポイントだそうです。「自分はできる」という気持ちは、時に他者へのSOSを出しにくくすることもあるからです。

子どもが深刻な悩みを抱えたときに、親に打ち明けてくれれば、一緒に考え、何か手を差し伸べることができるかもしれません。

立瀬助教は「子どもには普段から『あなたはかけがえのない存在である』と伝えてください。そして家族や教員だけでなく、関わる大人一人一人が理解者になり、子どもの良いところを認め、褒めることが必要」と話しています。

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