「来年も再来年も寅年だ‼」新人トラ係、奮闘中 実は繊細…トラの本当の姿を伝える手作り掲示板でトラ愛炸裂

茶良野 くま子 茶良野 くま子

 

2022年寅年も残りわずかですが、とある動物園では「新人トラ係」がトラの真の姿を伝えようとさまざまな掲示物を作り、「来年も再来年も寅年です!」と宣言しています。内容は勇ましいというよりは優しさにあふれ、「トラはとても繊細」「室内で見る時は傘をたたんで」「大声はストレスになる」など、トラを全力で守る言葉が並んでいます。

 

愛媛県立とべ動物園。同園のトラは現在13歳の兄弟と、12歳のメスの計3頭。トラ担当の飼育係は竹箇平昭信(たけがなる・あきのぶ)さんです。自己紹介で「右も左も分からない新人トラ係」「これまで経験した飼育力で謙虚な気持ちで向き合いたい」とトラ係の決意を記した竹箇平さんに、さまざまな掲示物に込めた思いを聞きました。

 

—「新人トラ係」とありますが

「飼育係歴は35年。トラ係は全く初めてです。現在2年目でようやく3頭のトラの中に入れた感じがあり、日々楽しんでいます」

—「飼育力」とは?

「当園では約150種飼育しており、これまで82種を担当しました。『飼育力』とは、『観察力』だと思っています。やれることは何でもやってみる。壁にぶつかっても決して諦めません」

 

—室内展示場では傘をたたんで、と具体的なお願いも。トラに不調が?

「常同行動や下痢便が見られました。人に対しても動物に対しても、相手が嫌がることはしないのは当たり前のことです。動物園は『心の学校』だと思っています」

 

—遠足の子どもたちや引率者へのお願いも

「動物園での子どもたちの無邪気さは尊重します。しかし、大人の行動が子どもたちに与える影響は大きいと考えています。『動物は動くぬいぐるみではない』ということを伝えてほしいです」

  

—健康管理や展示場整備なども丁寧に伝えています。来園者の反応は?

「経験したことを伝えるのは当たり前だと考えています。掲示物は自分がそこにいなくても担当する動物についてメッセージを送ることができます。掲示物を見て、トラのバックグラウンドを考えるきっかけになればうれしいです。また、掲示物のおかげでトラ係に話しかけやすくなっているようです」

 

「密林の王者」と言われ、見た目は勇ましいイメージがあるトラ。しかし「繊細でデリケートな部分もあり、そのギャップが魅力」と竹箇平さんは言います。身体の模様の違いが体全体で見られるため、兄弟トラの模様の違いの観察がお勧めで、「個人的にはヒゲと尾の動きの観察が大好き」なのだそう。

 

寅年の1年を振り返り、来年再来年への抱負を聞くと、「不安定な世の中は今後も続くかもしれませんし、もしかしたら悪化してしまうかもしれませんが、世界の平和を切に願っています。『平和あっての動物園』というのが若い頃からの私のモットー。トラ舎はトラ尽くしで前進するので、来年も再来年も寅年なんです。ちなみにニホンザルも担当しているので、サル山の方ではずっと申年です!」と気合を見せてくれました。 

 

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