ランドセルじゃなくてもいいんです!小学生にじわりと広がる「リュック型通学カバン」…1万円台で多彩な機能

コノコト コノコト

小学生といえばすぐに思い浮かぶほど、日本に深く根付いているランドセル文化。実は使用義務はないと知っていますか?値段の高さや重さを指摘する声もある中、別の選択肢として「リュック型通学カバン」が注目されつつあります。北アルプス・立山連峰を有する富山県では、アウトドア用品メーカー・モンベルが手掛けた製品を無償配布する自治体も出てきました。

   ◇  ◇

小学生の通学カバンは、学校が指定する場合を除き、原則的には何を使っても構いません。

それでもランドセル文化は根強く、水泳用品メーカーのフットマーク(東京)が2020年、全国の小学生の保護者400人を対象に行ったアンケートでは、9割がランドセルを購入。理由の多くは「他に選択肢がなかった」「指定カバンだと思っていた」というものでした。

一方で「子どもには重そう」「価格が高い」という声もそれぞれ3割に上りました。

富山市小学校長会の米田真二会長は「丈夫で教材がきちんと収まり、両手が空くものであれば、ランドセルにこだわらなくても構いません」と言います。

同校長会は、8月に開かれた富山市PTA連絡協議会との懇談会で、リュック型の通学カバンを紹介。ランドセルの平均購入額が約5万6000円(2022年、ランドセル工業会調べ)と年々高くなる中で、「経済的に負担を感じる親御さんもいる。別の選択肢もあると知ってもらえれば」と話します。

「手ごろな価格でいいですね」との評価も

リュック型の通学カバンとはどのようなものなのでしょうか。約2年前から取り扱いを始めた制服専門店「ユニフォームスタジオコパン」富山店(富山市)を訪ねると、さまざまなメーカーの製品が並んでいました。ランドセルの特徴である「カブセ」型のふたを採用するなど、いずれも見た目はランドセルに寄せてあり、カラーバリエーションも豊富です。

撥水加工や反射材付きはもちろん、メーカーによっては、内側にタブレット端末を収納するポケットや、荷物を固定するストラップを設けるなど、機能面も充実。豪雨災害を想定し、水に浮く仕様になっている製品や、体への負担を軽減させるためにウエストベルトを付けたり、背当てに通気性の良いメッシュ素材を施したりした製品もあります。

気になる価格は9900~19800円。ほとんどの製品が重さ1キロ以内に収まり、一般的なランドセルより安価で軽いのが特徴です。

売れ行きは「年に少しずつ」と、まだまだランドセルが主流ですが、同店を経営するユニフォームニシジマ(富山県高岡市)の黒越久夫社長は「お客さまからは『手ごろな価格でいいですね』といった評価をいただいている。安全で経済的な負担も軽い『次世代型』通学カバンをぜひ一度、検討してほしい」と呼び掛けます。

浸透している地域も

富山県内を見渡すと、既にリュック型の通学カバンが一般的になっている地域もあります。

高岡市能町小学校では、1973年からリュック型の「ナップランド」を利用。5500円と安価で軽く、黄色で目立つのが特長です。ランドセルを選ぶこともできますが、大半の児童がナップランドを使っているといいます。

また、立山町では2023年度以降に入学する全ての児童を対象に、モンベル製のリュック型通学カバンを無償配布します。子どもたちの身体的負担や家庭の経済的負担を軽減するのが目的で、少なくとも25年度までは取り組みを続ける予定です。

少しずつ広がりを見せるリュック型の通学カバン。一方で、耐久性や型崩れのしにくさなど、ランドセルにはランドセルならではの魅力があります。通学カバンを選ぶ際は、長所と短所を見極めて、納得のいく選択をしてください。

おすすめニュース

気になるキーワード

新着ニュース