前田敦子、フリー2年目「恐怖は消えました」 いまはAKB48ブームの偉大さを実感「色々な人の青春に刻まれている」

石井 隼人 石井 隼人

30代に突入した前田敦子(31)の表情が抜群にいいのはなぜか?事務所独立の際に寄せたコメントの中にある「不安はいろいろある」という未来に対する漠然とした思いから一転、フリーになって2年目を迎える現在の前田に恐怖心はないらしい。その背景には、今改めて感じるAKB48ブームの凄まじさが関係しているようだ。

流れに乗り遅れているような焦り

「どちらかというと私は落ち着きのないタイプ。常に動いていたい」とはにかむように自らの性質を打ち明ける前田。ならば俳優業で古くから言われる“待つのも役者の仕事”という不文律が合わないのは当然だ。しかも現代は個人が力を発揮できる時代に突入している。

「楽しいものにすぐにでも飛びつけるような環境を自分で作ってみたいというのが独立するにあたっての一番の思いでした。待つ時間はもったいないし、今の時代の流れに乗り遅れているような焦りも感じていました。ならば自分で責任を持って楽しいことで動いて、楽しい人生を送れる環境を作ったらどうなるのだろうか?とやってみました」と独立への決心を打ち明ける。

直感だけではなく、もちろん1年程熟考した上での大きな決断。しかし独立した当初は楽しさよりも恐怖ばかりが先行していた。「AKBを辞める時もそうでしたが、何事も最初は恐怖を感じます。独立時もそう。実際に上手くいく保障なんてどこにもないわけで、すべてがなくなってしまうのではないかという恐怖にかられました。独立する1年くらいはずっと悩んでいたし、独立してしばらくは『私なんて…』というマイナスなことばかりを言っていました」。不動のセンターの心は揺れに揺れた。

不安以上に楽しさが勝る

思いのほか小さな前田の背中を押したもの。それはAKB48のあっちゃんを仰ぎ見ていた年下世代からの熱いリスペクトの眼差しだった。「30代という年齢もあると思いますが、今は年下の方との出会いが増えて、どの現場に行っても若い共演者やスタッフさんから『卒業式で歌いました』とか『握手会に行きました』と言われます。AKB当時の自分はその渦中にいたので全然わからなかったけれど、AKBって色々な人の青春に刻まれているんだなあと今になって実感するというか。今や一線で活躍している人の幼少期にすら思い出としてAKBがいると思うと…不思議な感覚です」と笑う。

出会いの質が変わった。30代目前での独立はベストなタイミングだったのかもしれない。「たとえ初めましてでも相手は私のことを長年知っているので話がスムーズ。このパッと開かれたありがたい感じに味を占めてしまい、今では新しいことに挑戦する不安以上に楽しさが勝っている。恐怖は消えました」。弾んだような声色で表情もいい。

前田敦子唯一の恐怖とは?

ただし一個だけ、前田には拭い去れない恐怖があるらしい。「小さいころから私を見てくれていた若い方がキラキラな夢を抱いていざ私に会いに来る。でもその私は平凡なこんな感じなので…。ただただ申し訳ない気持ちです」と恐縮しきり。自虐する余裕があるほど、役者道を歩く前田の歩みは軽やかだ。

主演映画『もっと超越した所へ。』が10月14日から全国公開。稀代の劇作家・根本宗子自らが“映像化不可能”と言われた伝説の舞台を大胆なアレンジで脚色した。クズ男を引き寄せてしまう4人の女性の恋愛模様と、彼女たちの意地とパワーが引き起こすミラクルを描く。前田は、甘え上手な束縛系ヒモ男・怜人(菊池風磨)に押し切られてしまうデザイナーの真知子を好演している。

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