日本人旅行者の荷物から不審な錠剤、「これはなんだ?」怪しむ国境警備の係官→「これはですね…」ピーピー音で大爆笑

竹内 章 竹内 章

国境手前に差し掛かった国際列車で始まった荷物検査。静まり返る車内、迷彩柄の制服を着た係官が乗客の荷物をしらみつぶしにチェックしていきます。やがてある日本人旅行者のスーツケースから不審物を見つけます。隠されるように厳重にしまっていた錠剤らしきもの。「おい、なんだこれは?」と係官に問いただされた旅行者は次の瞬間…。

「国境管理の人に「おいなんだこれは」と言われて
「お菓子だよピーピー」って開けて吹いたら車内で爆笑された」

係官が違法薬物と疑ったのは、大阪の菓子メーカー・コリスの「フエラムネ」でした。この出来事を投稿したのは、Twitterユーザーのニチャード・リクソン/Nichard Rixon(@nixon1972viet)さん。緊張が一瞬にして弛緩に転じるコントのような展開に吹き出す人が続出しています。ロシア語を専攻する東京外大生というご本人に聞きました。

ーこの出来事は

「ウズベキスタンからカザフスタン・アルマトイに向かう列車での出来事です」

ーなんでまたフエラムネを

「ウズベキスタンで訪ねる予定だった日本語学校の生徒へのプレゼントでした。しかし財布を紛失したり体調の悪化などにより旅程が狂ってしまい、訪問は叶いませんでした。フエラムネはスターバックスコーヒーの紙袋に入れグルグル巻きにしてスーツケースに放り込んでいました。衣服の下に隠れるように配置していたので不審に思われたのかもしれません」

ーフエラムネを見つけた係官は

「トローチのような錠剤に似ていますし、係官は違法薬物、もしくは申告すべき医薬品と思ったのかもしれません。係官「ヘイ、なんだこれは?(真顔)」僕「お菓子だよ、日本の。見てくださいよ!(ここで裏を剥がして開ける)(口に近づける)ピーピー」係官&乗客「ハハハッwww」というやりとりがありました。係官はブフッと吹き出してました」

ー密輸屋にならずによかったです。荷物の中の線香も疑われたとツイートしていましたが

「お線香はいわゆるシベリア抑留によって中央アジアで亡くなられた方々への墓参のためです。タシケント(ウズベキスタンの首都)の日本人抑留者墓地には数日前に足を運び、アルマトイの日本人墓地も訪れる予定です」

静まり返る車内を爆笑の渦に巻き込んだフエラムネのピーピー音。ひとしきり笑った後、乗客のカップルがニチャード・リクソンさんに日本語で話しかけてきました。男性はジョージア人、女性はカザフ人で、YOASOBIの「夜に駆ける」の日本語版を聞かせてくれました。

「カップルはロシア語が堪能で、僕のパスポートを見て、『世界最強じゃん!』と。ビザなし渡航可能国は日本が最多ですので、そのことを指したと思います。『いつか日本に行きたい』とも言っていました。ジョージアという呼称は海外向けで、現地ではサカルトヴェロと言うのですが、それを思い出して『サカルトヴェロ!』と僕がいうと『なんで知ってるんだ!?マジか!』と笑顔で驚いていました」

その後、カップルはシムケントという街で下車。3人は「元気でね!(счастливо!)」と言葉を交わし別れました。ピーピー音がきっかけになったちょっとした交流。フエラムネ、海外では必需品かもしれません。

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