「風の洗濯機」「除菌水サーバー」…大学生が考えた避難所で役立つ製品がすごい 開発のきっかけは「衛生ストレス」

京都新聞社 京都新聞社

風力で臭いを取り除く「風の洗濯機」、除菌用の水を作り出す「オゾン水サーバー」…。災害時の避難所で役立つユニークな製品の開発に、京都工芸繊維大の学生たちが取り組んでいる。実際の被災者から「衛生管理に苦労した」という声を聞いて考案したといい、まだ試作段階だが、新型コロナウイルス禍で顕在化した避難所の衛生対策に生かしたい考えだ。

近年、大規模災害で長期の避難生活を余儀なくされるケースが相次ぎ、被災者の「衛生ストレス」が問題視されている。

櫛(くし)勝彦教授の研究室でデザインを専攻する学生10人が製品開発に参加する。コンサルティングを手掛ける「UCI Lab.」(東京)との共同研究で2021年7月に開始。パナソニックが技術指導を担った。

学生たちは、東日本大震災と西日本豪雨の被災地である宮城県岩沼市や広島県呉市など4カ所を訪問。被災者や支援者ら約30人から当時の避難生活の状況を聞き取った。その結果、「汗やペットの臭いが気になった」「風邪をひいて感染対策が大変だった」「食材や食器が安全か分からず使えなかった」といった意見が上がったという。

そこで発案したのが、手軽に持ち運びができ、バッテリーなどで動く衛生用の装置だ。「風の洗濯機」は、ポリ袋に衣類やブランケットを入れ、小型送風機を差し込むことで臭いを除去する仕組み。送風機は学生がデザインし、3Dプリンターで出力。パナ独自の空気清浄技術「ナノイーX」を取り入れた。

除菌効果のあるオゾン水を発生させるウオーターサーバーも提案。水道が止まっても給水できるようにタンクを設け、手指や食品を洗うことを想定している。クリップ型の空気浄化機も企画した。

4年の小牧遊太郎さんは「避難所でのストレスを少しでも和らげて、安心して過ごしてもらいたい」と話していた。今後、製品化に向けて機能やデザインなどをさらに検討していくという。

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