パソコンに生卵が落ちる災難!? 「精神ダメージ強すぎる」「ヒェッて声が出た」えっ、これドッキリなの?

中河 桃子 中河 桃子

パソコンのキーボードや電子レンジ、椅子などに生卵がグシャリ…思わず同情してしまう写真を投稿したのは、食品サンプル業界大手の「いわさき」(大阪市東住吉区)。「生卵がリアル過ぎて どこに置いても衝撃的」と添えられたコメントで、サンプルと知り「ホッ」とする人が続出。

現時点では商品化を予定されていないそうで、いったいなんのために作ったのか…公式アカウントに話を聞きました。

「「ヒエッ」て声が出ました」「何も知らなかったら発狂案件」「ノーパソのが一番ショッキング」「ひえぇーーリアル過ぎます」「こんな場面に出会したら、絶対叫ぶな、私。いぃやぁぁぁあぁぁぁぁ〜‼️((((;゚Д゚)))))))精神ダメージ強すぎる」などの悲鳴が。

一方で「やばいめっちゃ欲しい‼︎」「会社のパソコンでやりたい…」「親戚や知り合いの人の車の屋根かボンネットに上手く置いておきたい、座席シートでも良い」といった、ドッキリアイテムとして購入を切望する声や、生卵そのものの見た目にテンションが上がる声が続々寄せられました。

いわさきは、大阪市内で1932年に創業。初代は、今ではおなじみとなった食品サンプルを国内で初めて事業化し、「サンプル王」と呼ばれた岩崎瀧三氏です。現在は主軸の食品サンプルをはじめ、店舗設計やウインドウディスプレイの企画・制作、広告用写真の撮影や販促ツールの企画・制作などを行っています。

同社のSNS担当者によると、今回撮影されたアイテム『生々しい生卵』は、同社が開催した食品サンプルの作品展「おいしさのアート展」(東京ソラマチで8月31日まで開催)で展示されていた作品の一部とのこと。どのようなきっかけで生卵のフェイクが作られたのか、話を聞きました。

「一番苦労したのは殻でした」

――10万以上も「いいね」を獲得しましたね。

「正直反響の大きさに驚いています。卵が割れるというのは身近な悲劇で、経験した人も多いので響いたのかもしれません」

――今回の『生々しい生卵』が誕生した経緯は?

「製作担当者は社内でもトップクラスの技術の持ち主で、医療外科のトレーニング用に血管のモデルを製作・開発する、当社の医療モデル部門“IWASAKI for Medical Training”にも携わっています。今回は“卵の殻を今までにないくらいリアルに作れるかもしれないと再現のアイデアが思い浮かんだのがきっかけ”だそうです。

卵なら外国の方でもわかるポピュラーでシンプルな食材ですし、あっと驚くリアル感、そして食品サンプルならではの表現をどなたにでも楽しんでいただける作品かと思います」

――本当にリアルで驚きました。どんな点にこだわったのでしょうか?

「落として割れてしまった卵黄表面の飛び散った感じや、白身の色の濃いところ薄いところの微妙な色の差はもちろんですが、特に「卵の殻」は繊細な薄さや割れた感じ、そして殻の内側の卵殻膜まで見事に再現されているところです。

食品サンプルは本来、実物の食品から型をとって作りますが、今回の生卵は、黄身や白身などの原型を創作したうえで作っています。製作者本人いわく“思っていたより苦労したのは最初に思いついた「殻」でした”とのことですが、非常に薄く繊細な部分なのでよく再現したなと思います」

――リアルな造形を生み出す技術はどのようにして磨かれていますか。

「技術の向上や開発を目的に1966年に始まって以来、いわさきグループ各社によって実施されてきた、50年以上にわたりつづく社内製作技術コンクールにあるかと思います。

その活動は多くの新技術や新しい表現方法の発見、新商品の開発へとつながっています。今回も作品作りの過程で新しいアイデアや技術も生まれたのではないでしょうか」

――社内でドッキリアイテムとして使われることは?

「社内スタッフは食品サンプルを見慣れすぎているので、だまされたり珍しがったりすることはあまりありません。ただ『こぼれたコーヒー』の商品が初めて届いたときに、それを知らない同僚のデスクで、本人が飲んでいたコーヒーと同じ空き缶を転がして仕掛けた際、本人は見た瞬間にフリーズして混乱していました(笑)」

――食品サンプルは飲食店でのショーケースでの展示が主だと思いますが、ほかに利用されているシーンは?

「病院・教育施設の栄養指導に、当社の教材用食品サンプル「フードモデル」が使われています。一般のお客様には、当社員が考案した楽しい食品サンプルグッズをオンラインで販売してお部屋のインテリアはもちろん、カードケース、マグネット、小物トレーのほか、ドッキリを仕掛けられるおもしろグッズもあります」

「各技術者が、温めてきたアイデアを最大限表現します」

――今回のアイテムが生まれるきっかけとなった『おいしさのアート展』とは?

「例年は、大阪いわさき/東京イワサキ・ビーアイがそれぞれ別で製作コンクールを行っているのですが、2022年度のコンクールはいわさきグループ創業90周年を記念し、岐阜の岩崎模型製造を合わせた、グループ創業以来、初めて3社合同で開催しました。

“笑顔あふれるおいしい瞬間 ~食品サンプル大爆発!~”をテーマに、人々を笑顔にするような驚きと感動にあふれる作品を生み出すべく、いわさきグループに在籍する全国約100名の食品サンプル製作技術者が、食品サンプルだからこそ伝えられるものを探求して腕を競い合いました」

――製作技術者さんにとって、この展覧会はどのような存在?

「本展覧会は、普段は飲食店のオーダーに忠実なものづくりを目指している製作技術者が“つくりたいものをつくる”ことを許される場です。

技術者それぞれが自由な発想のもと、持てる技術と経験のすべてを注ぎ込み、本物と区別のつかない超リアルな作品や、遊び心満載でユーモラスな“映える”作品など、毎回数々の名作を生み出してきています。やはり一年一度の開催なので、各技術者の温めたアイデアを各々最大限表現してくれていると思います。

コンクールでは、社内審査と一般WEB投票の両方が行われます。社内審査では、飲食店販促物のプロとしてのリアルな表現力や新しい技術などに注目されることが多いのですが、一般WEB審査ではユニークさや見た目の楽しい作品に票が集まることもあり、結果に違いが出ることも面白いところです」

◇  ◇

『おいしさのアート展』は8月31日で終了しましたが、一般WEB投票はいわさきグループ90th特設サイトにて9月4日まで受付中、結果発表は9月12日から。今後は大阪と岐阜での展示も予定しているとのことで、最新情報はSNSや公式サイトで確認を。

最後に担当者は、「飲食店の店頭でおなじみの食品サンプルも、日々職人が試行錯誤を重ねながら丁寧に手作業で作っています。日本の文化として世界からも人気の食品サンプル。これからも楽しい発信を続けていきますので、どうぞ注目していてください」と話してくれました。これからも、どんなリアルさで驚かせてくれるのか楽しみですね。

公式Twitterアカウント:@IWASAKI_SAMPLE
公式サイト:https://www.replicafoods-competition.com
『おいしさのアート展』一般WEB投票:https://www.replicafoods-competition.com/vote.php
IWASAKI for Medical Training:http://iwasaki-mt.com
「フードモデル」:https://foodmodel.com

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