怒られても反省できない…? ADHD当事者が語る社会での悩みごと② ~家族や同僚は、どう対応したら良い?~

竹中  友一(RinToris) 竹中 友一(RinToris)

「健常の人『ここがいけなかったのか、よし、こうすればいいんだ』
ADHD私『怒られた、怒られた、怒られた、人生終わった、、、』
怒られたことに落ち込んで反省はしない」

このようなツイートを投稿したのは、自身もADHDの当事者であり、ADHDの社会的理解が深まるよう、TwitterやTikTokで発信をしているやまみさん(@tadaima_yamami)。

ADHDのある方が社会の中で陥りやすい困りごとについて紹介し、大きな話題となっています。

会社などで怒られた時、「落ち込みっぱなしになってしまい反省できない」という状況について紹介した本ツイート。前回の記事では、ADHD当事者がそのような状態になってしまう原因や、そうならないために工夫された本人なりのポイントを中心に取り上げました。

後半となる本記事では、そのようなADHDの人たちと、周囲や社会との関わりについて取り上げます。

「部下に当事者がいる」「家族に当事者がいる」という声も多数

やまみさんの今回のツイートのリプ欄には、ADHD当事者や他の発達障害のある方、グレーゾーンの方など、さまざまな方からコメントが寄せられましたが、なかにはこのようなコメントもありました。

「ADHDの後輩がいて困っています」
「妻がADHDで勉強中です」
「息子も『怒られたことでパニックになって思考停止してその後動けなくなっちゃうのが嫌だ』と言います」

部下や家族が当事者であるという、いわゆる周囲からの声。ADHDの知り合いとの関わり方や対応について悩みを打ち明ける方も多く、やまみさんをはじめ多くの方々が、それに対する見解やアドバイスのコメントをされていたのも印象的でした。

実際に、小中学生の10人に1人はADHDの特徴をもっているという調査結果があったり、大人になってからADHDであることが発覚する人もいるなど、ADHDは比較的身近な特性かもしれません。

ゆえに、ADHDの方が同僚にいたり、自身の家族が当事者であるという可能性は十分にあります。お互いが社会や日常生活の中で理解し合える関係づくりが大切です。

具体的にどうすれば良いのでしょう?やまみさんに聞きました。

――同僚・家族などの周囲の方がADHD当事者と接する際には、どのような配慮や心がけが必要だと思われますか?

やまみさん:まずは否定的な意見から入らずに、取り組んだことを認めてあげること、「どうしたらできると思う?」と考えさせる前に、「AのパターンとBのパターン、どちらが適切か」と選択肢を与えて、そこから改善策を一緒に考えていくこと。また、イメージをすることが苦手な人も多いので、一度ロールプレイで見せて「可視化」するのも改善策として有効的だと思います。また、結果だけを評価するのではなく、その人自身がまず取り組んだ過程を褒めてあげること、これが何より大切だと思います。

――なるほど、「褒めてあげる」のですね。

やまみさん:一般の人が「当たり前にできること」でも、ADHDの人がやるとツメの甘さが目立ってしまうことは多いです。でも、当事者からしたら、精一杯頑張っていたりするので、その努力を少しでも褒められたら、それだけで嬉しい気持ちになるんです。なので、とにかくいいところを1つでも見つけたら、少し大げさに見えるくらいでもいいので、たくさん褒めてあげて欲しいと思います。

――周囲の方々の配慮はもちろん大切ですが、一方でADHD当事者側の心がけも必要では?

やまみさん:非常に重要だと思っています。自分が診断をもらっているからといって、それを言い訳にしては良い結果は生まれません。これは、私自身が前職で働いていた時に痛いほど味わったことです。また、褒めてもらえた時は素直に受け入れること、常に感謝の気持ちを忘れないことも大切です。私自身、些細なミスをして、よく謝罪の言葉を口にしてしまいがちなのですが、それ以上に「ありがとう」という言葉をたくさん伝えるようにしています。

――やまみさんは、ADHD当事者のジレンマを少しずつ克服しながら、よりよい生き方をされているように思えます。

やまみさん:そう言っていただけて光栄です。私がこうして前を向いて過ごせているのは、今、大好きな人たちに見守られながら、自分の挑戦してみたいことを応援してもらえているからだと思っています。得意なことを伸ばし、皆と一緒に成長できる環境に身を置いて、「最低限のことを最大限に」発揮していく…。そうすればどんな時も自分で困難を切り開いて、幸せをつかめるようになるんじゃないかなと思っています。

周囲の配慮や取り組みについて、専門家はどう考える?

周囲の上司や同僚、家族の配慮や心がけについて、専門家はどのように考えているのでしょうか。

前回に引き続き、精神障害・発達障害のある方の就労支援を行っている「NPO法人 大阪精神障害者就労支援ネットワーク(JSN)」の橋本泰伸さんにお話をおうかがいしました。

――発達障害のある当事者の方と社会生活や日常生活を送る際には、どのような意識が大切でしょうか?

橋本さん:まずは、障害者本人・その周囲の方々ともに、お互いがいっぱいいっぱいな状態にならず、心に余裕をもつことかなと思います。

――余裕は大切ですね。社会の中では、具体的にどのような取り組みが必要ですか?

橋本さん:難しいことですが、自分の主観や価値観で話さないことは大切だと思います。一方的に伝えてしまったり、押しつけてしまったりすると、上手くはいきません。伝える側も具体的に丁寧に説明することが大切です。あとは、相手の得意なことをみつけやってもらう、役割を持ってもらう、といった取り組みも必要かと思います。

――ご家族の方に関しては、どのような取り組みや工夫が大切でしょうか?

橋本さん:悩みや将来的な不安などを抱え、ご苦労されているご家族もいらっしゃいます。そのような方々どうしがつながって、話したり情報交換ができたりする場を見つけることが大切だと思います。しかし、そういった相談・交流の場が少ないのが現状です。今後は、そのような環境を作っていく必要性も感じています。障害のある本人だけでなく、ご家族の方自身の支えや支援も重要です。

  ◇  ◇

「『知らないこと』が一番の障壁になると思います」という橋本さん。知識の共有・相互理解、情報の発信がきちんと行え、理解や配慮がある社会や環境づくりが大切だといいます。

確かに、まずは相手の特性をしっかり理解したり、情報が正しく伝達し合える仕組みを作ることは、具体的な方法論について考えるより以前に、必要不可欠なことといえるでしょう。

そんな橋本さんが職員をされているJSNでは、精神障害・発達障害の方の就職のサポートを「人」を大切にし、個人に合った生活支援も含めて行っています。2007年の設立以来、就労移行支援事業所としての就労訓練などを通じて、のべ500人の方々の就職を実現してきました。

また、就職後も働き続けられることを目標にジョブコーチや定着支援にも力を入れており、障害のある本人はもちろんのこと、企業側とも連携し、配慮方法についてアドバイスするなどのサポートを行っています。

「就職=ゴールではありません。5年後、10年後も働き続けるために私たちは全力でサポートします。一人ひとりへの丁寧なサポートを大切にし、一貫した支援を行うことで、より安定した就業生活を送ることを目的としています」(橋本さん)

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