2022.07.17(Sun)

ザ・昭和な「古い集合住宅」が劇的変化！　こんなおしゃれに生まれ変わる、注目の“外見だけ”リノベーション

こちらのおしゃれな海外のアパルトマン風の建物。入居者があとを絶たない人気の賃貸マンションといいますが、もともとは空室も目立つような、古い昭和風の建物だっただなんて信じられますか。建物の外観、特に建物の「顔」でもある「エントランス部分」を重点的にリノベーションすることで、建物の印象を変える「外リノ」という取り組みが話題です。衝撃のビフォー・アフターをご紹介します。

兵庫県神戸市にある3階建ての賃貸マンション。1974年に竣工した賃貸マンションが、外観・エントランスのリノベーションで生まれ変わりました。

リノベーションしたのは2018年、建物が築44年のとき。当時は色味も古ぼけた印象で、管理が行き届いていなかったこともあり、全7室あるうち5部屋が空室。そこで、建物を大規模改修するタイミングにあわせて、外観デザインを一新しました。

リノベーション後の建物は、パリの路地裏にあるシャレたアパートメントを意識したデザインに。外壁は白地にする一方、屋外階段などのテントを黒く塗り、シックなモノトーンにまとめただけでなく、ワインレッドをアクセントカラーに使い、より印象的な建物になりました。飾り文字でマンションの名前やイニシャルを描くことで、遊び心も加えています。

そして、驚くのは「夜の姿」です。アンティークな照明が灯るだけでなく、スポットライトが仕掛けられた建物には温かみのある印影が。ぐっとスタイリッシュさが増しています。

大家さんによると、リノベーションする前は「入居している人たちも男性だけだった」とのことですが、改修後は女性やファミリー層の問い合わせが増えているといいます。空室もすぐ埋まる人気で、家賃も「相場が6万円のところ2000円アップできている」といいます。街並みへの美観面だけでなく、「照明による防犯の効果もあり、近隣の方々からも非常に好評です」と話します。

また、東京都品川区にある4階建ての賃貸マンションでは、もともと外観が昔ながらのタイル仕上げだったことを活かし、よりヴィンテージな雰囲気にリノベーションしました。黒い塗装におしゃれな文字をあしらい、ニューヨークのブルックリンのような雰囲気に。建物の銘板はゴルフ場で使われるホールサインを採用したほか、共有部や入り口部分の照明にもこだわり、まるで今流行のパティスリーのようです。

1975年に竣工したこちらの建物。「家賃は周辺の建物と比べるとほぼ同等か少し安いぐらいですが、現在のデザインになったことで、不動産屋業者からも物件の紹介がしやすくなったと聞いています。ヴィンテージの建物を好む人も多いようで、新しい入居者も決まりました」と話すのは物件の大家さん。「もちろん入居している人の満足度も上がりました」

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「外リノ」に取り組んでいるのは、東京と大阪に拠点を持つデザイン会社・インターデザイン。もともと分譲マンションや商業ビルなどの外観デザインを数多く手がけてきたといいます。その技術を活かして、賃貸住宅の外観リノベーションのデザインに取り組みはじめました。

「昭和や平成初期に建てられた建物は、個性豊かで建て主のこだわりが色濃く見える。古さは一見、マイナスポイントのようですが、アイデアやデザイン次第でチャームポイントに変えることができるのです」と同社は説明します。

「外リノ」の実例を見ていると、リノベーションの雰囲気が多種多様なことに驚きます。「ミッドセンチュリー」「70年代アメリカ」「ラギッド系（無骨な雰囲気）」「クールユーロ」「スカンディナヴィアン・ヴィンテージ」…そこには建物の個性を見出し、「憧れのデザイン」に変える、デザイン会社のセンスがかいま見えます。

なお、リノベーションで「外観」にこだわった提案をするのは、「限られた予算で、より多くの人に喜んでもらえるから」とのこと。「部屋ごとのリノベーションをしても、恩恵にあずかれるのはその部屋の入居者だけです。でも、建物の外観はその住宅に住む人すべてにかかわることです。大家さんにとってはコスパの良い投資となり、住む人たちにとっては友達を呼びたくなるような『自慢の家に住む喜び』が生まれる…まさに「外観リノベーション」はウィンウィンな取り組みなんです」