カフェの隣席の高齢男性、目を白黒させ顔色一変も周囲はポカーン 咄嗟の処置に「素晴らしい行動力!」「見習いたい」

塩屋 薫 塩屋 薫

オーストラリアのカフェで、即座に応急処置をした蔵織さん(@maminum)の投稿に、6万以上の「いいね」がついています。リプ欄には「よくやった!」「素晴らしい判断力と行動力!」「とっさに出来ちゃうの凄いです!やり方調べてみました。どれぐらいの強さで背中叩くのか分からないのでYouTubeでも見ておきますっ。誰かのピンチに行動出来るように!」など称賛と「見習いたい」という声が多数寄せられました。

カフェで蔵織さんの隣の席に座っていた高齢男性の目が白黒し、顔色が変わったそう。さらに、手が震えてヒューヒュー言い出したため「あ!喉に詰まったな!と咄嗟に判断して、おじいちゃん!lean forward!って叫んで前傾姿勢取らせて、背中を掌の基部を使ってバンバン!と何度か上向きに叩いたら、喉に詰まったらしきスコーンの塊がポロっと出てきた」とのこと。

「周りの人は初めはポカーンとしていたけど、ハッと気づいて、たくさんの拍手を送って下さった。お店の人からは『ありがとう』とコーヒーをご馳走になった(2杯目。腹一杯やねん)火事場の馬鹿力ってほんとに出るもんだね。自分でもびっくりしたわ」と迅速な行動力に自他ともに驚いたそうです。2007年からシドニーで暮らしている蔵織さんに、話を聞きました。

――これまで応急処置の指導を受けた経験があるのですか?

地元のジムでZUMBA(ダンス系エクササイズ)のインストラクターの仕事をしています。職業上オーストラリアでは3年に1度、応急処置資格の更新が義務付けられていて、心肺蘇生法は年に1回の更新が義務となっています。

――なるほど!でも実際には、すぐ判断して動くのは難しいかと…。

私もこのような形での人命救助は初めてでした。準備はしておくに越したことないなと思いましたね。

――「うちは小さい子供がいるので、窒息の危険とはいつも隣り合わせです。子供がNICUから退院する時に指導を受けていたので」ともコメントされていましたね。改めまして、こういった場合の留意点はありますか?

背中の中央部から首に向けて、掌の基部(手首との境目の辺り)を強く叩きつける感じです。結構力を入れないとうまく作用しません。

――指導を受けた方ならではのコツが必要なんですね。口からスコーンが出た時の率直なご感想は?

あーやっぱり窒息だったか!という気持ちと、安堵の気持ちが混ざって出てきました。

――お店からお礼のサービスがあったとの事で、その高齢男性はどんなご様子でしたか?

当事者のおじいさんはしばらく呆然としていましたが、のちにお礼の言葉をいただきました。周りのみなさんは初め何が起きたのかさっぱりわからん、と言った感じでしたが、「わー!すご!よくやった!」という称賛の言葉を(英語で)たくさんいただきました。

――あたたかな雰囲気になったのですね!投稿への反響はいかがですか?

自分ができることをやったまでなので、正直こんなに反響が大きいとは予想もしておらず、非常に驚きました。少ないフォロワーさんから「いいね」がもらえたら御の字だなーくらいの気持ちで投稿したので。投稿を読んだみなさんが、『私も応急処置受けてみよう』とか『更新しないとなあ』と言ってくれたのが嬉しかったですね。「人を助けたい」という気持ちを持った優しい方々が多いんだなあと分かって、ほっこりしました。

――改めまして、今回の事でメッセージがございましたら。

今回の投稿で『ヒーローだ!』とか『すごい!』というお褒めの言葉をたくさん頂きましたが、こういう機会はいつ訪れるか全く分からないものです。備えあれば憂いなし、ということで「応急処置の講習を受けよう!」と思ったらぜひ足を運んでみてください。

◇ ◇

今年の8月で在豪15年になるという蔵織さん。日本との違いを伺うと「ここは移民国家で、いろんな国からいろんな人が寄り集まって住んでいるなあ」と強く感じるそう。「仕事柄、私も様々な国籍の方々と出会ったり、仕事を一緒にする機会があり、聞いたこともない国から来た方と親交を深めることができるというのは、自分の視野を広げる意味でもとても恵まれているなと。色んな文化を学ぶことができます」と教えてくれました。今回の事態も、文化を超えた「助け合い」という新たな経験につながったようです。

■蔵織さんTwitter https://twitter.com/maminum

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