古代ギリシャの専門家、藤村シシンさんが日本酒とコラボイベント

神戸新聞社 神戸新聞社

6月1日、兵庫・三宮の神戸阪急に古代ギリシャの専門家・藤村シシンさんがやってきます。

はるか昔、ゆたかな海に囲まれ、山間の地も多かった古代ギリシャと日本海にも瀬戸内海にも面し、ジビエがおいしい山々にも恵まれる兵庫県。さらにエーゲ海も瀬戸内海とも内海で入り組んだ湾が特徴とあって、アテネの外港として栄えた都市「ペイライウエス」と、古くから港町として栄えた神戸は共通点が多いのです。

また、現代の兵庫県民とよく似て、ご馳走として牛肉を食べ、タコなどの海産物も好んだ古代ギリシャ人。とろける脂の「神戸ビーフ」の発祥、但馬。明石のタコもいわずもがな。おいしい食材、プロの料理人があつまり、姫路城下の和菓子の伝統も、神戸港開港以来の洋菓子の伝統にも恵まれ「おいしい」には事欠くことのない「御食国(みけつくに)」兵庫県民。

そんな地理的にも時間的にもはるか遠い古代ギリシャと兵庫県の「テロワール」を考えるトークイベントを実施いたします。

みなさんは「テロワール」という言葉をご存知でしょうか。「土地」を意味するフランス語「テール」から生まれた言葉で、もとはワインの味を決める土地の性格や気候を指す言葉です。

兵庫県はかつて兵庫五国と言われていて、摂津・播磨・但馬・丹波・淡路という五つの「土地」があわさって一つの県になりました。旧五国では風土も大きく異なっていたためにそれぞれの風土ではぐくまれた日本酒も多種多様に絶品な日本酒があります。

日本酒と酒米の生産量が全国1位な兵庫県ではおのおのの地域の食とあわせて日本酒文化が育まれてきました。それは山間の地域では山の幸に合う味に、沿岸地域では新鮮な海産物に合う味にそんな魅力的な日本酒が多いのです。

一方で古代ギリシャもポリス(都市国家)というコミュニティがあり、共同体ごとに独立していました。アクロポリス(城山)とアゴラ(広場)を中心とした共同体で、大小1500ほどあったとされ、1つの都市国家にどんなに多くても住民は1万人未満だったそうです。(藤村シシン『古代ギリシャのリアル』参照)

海を「ワイン色」と表現する古代ギリシャ人たちも、わたしたち兵庫県民ときっと同じように地元の食とともにワインをたしなむのがきっと彼らの“リアル”だったのではないでしょうか。

兵庫五国の27蔵元が勢ぞろいするHYOGO SAKE EXPOではトークイベント当日の午前中には鏡開きも実施します。同イベント会場には、6日間日替わりでお酒が堪能できるバーも開店。

くわえて、冒頭にて紹介した「テロワール」には、その食に関わる「人」が織りなす要素も含まれます。ぜひ会場にて美味い酒に舌鼓を打ちつつ、兵庫に生き兵庫の食を支える人々の様子も味わっていただけますと幸いです!

トークイベント概要
6月1日(水)16時~(1時間程度を予定)
神戸阪急9階催事場「HYOGO SAKE EXPO」内ステージにて
参加費:無料

藤村シシン(ふじむら・ししん)古代ギリシャ研究家。東京女子大学大学院博士前期課程修了、史学専攻。高校の時にアニメ『聖闘士星矢』の影響でギリシャ神話にはまり、以来、古代ギリシャ史の道に。NHKカルチャー教室講師。2020年東京オリンピック採火式のNHKでの放送にて同時通訳を務める。古代ギリシャ総合体験型エンターテイメント「古代ギリシャナイト」主催。

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