ラニーニャ現象 夏にかけて続く 6月~8月の世界の天候の特徴 終息するのはいつ?

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ラニーニャ現象が夏にかけて続く可能性が高くなっています。ラニーニャ現象が発生しているときの日本の夏では、気温が高い傾向や沖縄・奄美で降水量が多い傾向があるなど、世界の天候に様々な影響を及ぼします。ラニーニャ現象は、当初の予想より長引く予想になっています。

ラニーニャ現象 夏にかけて続く可能性が高い

気象庁が今月12日に発表した「エルニーニョ監視速報」によると、昨年秋からラニーニャ現象が続いており、今後、夏にかけてラニーニャ現象が続く可能性が高い(70%)と予想しています。

ラニーニャ現象は、太平洋の熱帯域で、東部で冷たい水の湧き上がりが平常時より強く、海面水温が平常時より低くなっています。一方、西部には暖かい海水がより厚く蓄積します。

ラニーニャ現象が日本の天候へ影響を及ぼすメカニズム

ラニーニャ現象時は、西太平洋熱帯域の海面水温が上昇し、西太平洋熱帯域で積乱雲の活動が活発になります。このため、日本付近では、夏季は太平洋高気圧が北に張り出しやすくなり、気温が高くなる傾向があります。沖縄・奄美では南から湿った気流の影響を受けやすくなり、降水量が多くなる傾向があります。沖縄・奄美で6月から8月に降水量が多い傾向はラニーニャ現象発生時、統計的に有意な傾向です。

ラニーニャ現象時 6月~8月(北半球の夏)世界の天候の特徴

ラニーニャ現象は、世界の天候に様々な影響を及ぼします。一番上の図は、統計期間1958年から2012年のデータで、ラニーニャ現象発生時、6月から8月(北半球の夏)の世界の天候の特徴です。
気温は、 ヨーロッパ東部、アメリカ北東部付近、ポリネシア南部からオーストラリア北東部で高温傾向がみられます。一方、中央シベリア南西部付近、フィリピン南部からインド南部、スーダン付近、アラスカ湾周辺、中米南部~南米南部から中部太平洋熱帯域で低温傾向が見られます。
降水量は、 パキスタン付近、スカンディナビア半島北部、ベネズエラ付近で多雨傾向が見られます。中央アジア、ロシア北西部付近、米国中部、ハワイ諸島からミクロネシアでは少雨傾向が見られます。

ラニーニャ現象 当初の予想より長引く予想に 終息するのはいつ?

ラニーニャ現象の定義は、国によって微妙な違いがありますが、アメリカ海洋大気庁の5月12日の発表によると、ラニーニャ現象の確率は、5月から7月は87%で、8月から10月は58%と下がりますが、秋から初冬にかけては61%と少し上がると予想しています。もし冬まで続くと、ラニーニャ現象が発生している状態の冬が3回連続することになります。アメリカ海洋大気庁の資料で、記録が確認できる1950年以降、ラニーニャ現象が発生している状態の冬が3回連続したのは、1973/1974年、1974/1975年、1975/1976年の冬と、1998/1999年、1999/2000年、2000/2001年の冬(2001年のラニーニャ現象は12月と1月)の2回だけです。いずれも、エルニーニョ現象の数値が大きな値を示した後に、ラニーニャ現象が発生している状態の冬が3回連続しています。今回は、エルニーニョ現象の後ではありますが、その数値は大きくはありませんでした。3回連続のラニーニャ現象が発生している状態の冬になれば、珍しいというだけでなく、過去の現象とは少し違うことも話題になっています。

気象庁は、昨年12月に発表した「エルニーニョ監視速報」では、春にはラニーニャ現象が終息し平常の状態になる可能性が高いと予想していました。今月12日の発表では、夏にかけて続く可能性が高いだけでなく、その後、秋にかけてラニーニャ現象が続く可能性と平常の状態になる可能性は同程度(50%)と予想しています。
気象庁の定義で、2020/2021年の冬と、2021年/2022年の冬、2回連続して、ラニーニャ現象が発生している状態の冬になりました。もしラニーニャ現象が秋に終息することなく、冬まで続くと、ラニーニャ現象が発生している状態の冬が3回連続することになります。ラニーニャ現象が発生している状態の冬が3回連続すると、気象庁の記録が残る1949年以降、初めになります。

ラニーニャ現象が発生している状態の秋と冬 日本の天候の特徴

ラニーニャ現象が発生している状態の秋、日本の天候では、特に統計的に有意な傾向はありません。ラニーニャ現象が発生している状態の冬、日本の天候で、統計的に有意な傾向は、日照時間が北日本の太平洋側で平年並みか多いことです。12月を中心とする3か月では、平均気温が東日本で低く、降水量が東日本や西日本の太平洋側で少ない、日照時間が北日本の太平洋側と西日本で多い傾向があります。

一番上の図は、ラニーニャ現象の発生時に、6月~8月(北半球の夏)の平均気温の「高い」を赤、「低い」を青で示しています。降水量の「多い」を緑、「少ない」を黄で示しています。

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