栄光の朝日将軍から悲運の武将へ 広報誌で長期連載された木曽殿の小説が完結 「青木崇高さんはイメージ通りです」 

北日本新聞 北日本新聞

NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」で、頼朝と源氏の棟梁を争うライバルとして登場した木曽義仲。ドラマが盛り上がりを見せる中、義仲ゆかりの地・富山県小矢部市の職員が、9900部を発行する市の広報誌で5年間連載した「猛将 木曽義仲~倶利伽羅峠に想いを馳せて~」が話題となり、4月から市のウェブサイトで読めるようになったという。執筆にかけた熱い思いを著者に聞いた。

源平合戦ゆかりの地

石川県との県境に位置する小矢部市は、義仲が「火牛の計」を用いて平家の大軍を打ち破ったとされる倶利伽羅合戦の地。角にたいまつを付けた火牛のゆるキャラが市のマスコットになるなど、義仲に深い思い入れを持つ地域だ。義仲と女武将・巴御前を主人公とする大河ドラマの実現にも長年取り組んでいる。そんな市の広報誌で連載を執筆したのが、市商工観光課課長補佐・船見幸広さん(50)。広報誌は1万近い部数を発行し、各世帯に配られているという。プレッシャーはなかったのだろうか。

―3月で全60回の連載が終了しました。5年間、毎月の連載は大変だったのでは?

「いいえ、100回ぐらいは書けました。むしろ書きたいことが多すぎてエピソードを厳選するのに苦しんだほどです。軍記物語「源平盛衰記」に基づいて書いていますが、あまりマニアックになり過ぎないように、時には小説風の回も織り交ぜ、みなさんに義仲の人柄が伝わるように工夫しました」

すごい。だが、いくら仕事とはいえ、作家でもなく研究者でもない市職員が1回約1000字の原稿を5年間も書き続けられるのか…?疑問がわいてきた。

―もともと歴史がお好きなのですか?

「歴史は好きですが、大学では西洋史を学んでいました。小矢部市で働くようになって初めて義仲のことを知り、そこからたくさん勉強しました。全国の義仲ゆかりの土地を訪れ、現地の方に聞かせていただいた話も連載に盛り込んでいます。市が推進している義仲と巴御前を主人公にした大河ドラマ誘致プロジェクトも担当しています。12年間、義仲を通して市の魅力発信に取り組んでいます」

12年!これは義仲への思い入れが相当強いと見た。しかし義仲といえば、その軍勢が京で乱暴狼藉を働いた人物という悪いイメージもあるが…

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