「球児を守りたい」甲子園や選手宿舎「エアバスター」で感染対策、2年前の3倍に増強 センバツ18日開幕

山本 智行 山本 智行

 来る18日に開幕するセンバツ高校野球に向け、球児の強い味方になってくれそうなのが、オゾン除菌脱臭器「エアバスター」だ。甲子園球場には2年前から感染症対策の新兵器として導入され、一定の成果を上げてきた。販売、管理を担う三友商事株式会社(大阪市)によると15日までに設置している全60台のメンテナンスが完了。要望があれば、選手宿舎への除菌器の貸し出しサービスも行う構えだ。

 準備OKだ。18日から高校球児を迎え入れる甲子園球場では感染症対策の一助として、球場内に設置しているオゾン除菌脱臭器「エアバスター」の点検を終えた。

 今回、メンテナンスをしたのは60台。一、三塁側の選手ロッカー、ベンチ裏、さらに、食堂、記者室、VIPルームと設置場所は多岐にわたる。

 思えば、新型コロナウイルスがまん延しはじめた2020年3月に初導入したときが17台だったことから、この間に3倍以上も増強したことになる。

 残念ながら、その年のセンバツは中止となったが、その後はプロ野球、高校野球とも規模を縮小しながらも何とか開催。一定の成果を上げてきたのは間違いなく、三友商事株式会社の南真一さんもこう言う。

 「わたしたちは、感染対策は足し算だと考えており、基本的な感染対策に加え、こういった機器を使用、メンテナンスすることで選手を守ることにつながれば、と考えています」

 このエアバスターを最初に導入したのがヤクルト。2020年春季キャンプに向けて、ロッカー、食堂、トレーニング室など複数の人が集まり、密になりやすい環境だったり、窓が無く換気のできない場所に設置すると、その後、阪神や中日、ロッテも追随し、そこからどんどん広がった。

 今年の春季キャンプは有観客で実施したこともあり、各球団、受け入れる側の市町村もこれまで以上に感染症対策を一段と強化した。そんな背景からエアバスターの需要はさらに高まり、沖縄県、宮崎県などのキャンプ地において12球団のうち何と9球団が採用し、250台が使用されたという。

 エアバスターはウイルスなどを除菌、抑制する働きのあるオゾンの力を利用した脱臭器で除菌効果も期待できる。単なる空気清浄機とは違い、ドアノブや照明スイッチに付着したものも抑制できる強みがある。

 小型で軽量、持ち運びもしやすいことから三友商事によると「同型機(BT03)を含め2000台以上の救急車に搭載されており、家電量販店には並ばないプロ用業務用機。医療機関や福祉施設などを中心に累計台数は約6万台」という。

 実際、今年2月28日には、奈良県立医科大学が「低濃度オゾンによる新型コロナウイルス(変異株)不活化確認」と発表。低濃度オゾンを使った研究が各大学で進められるなど、低濃度オゾンへの見方が変わりつつある。

 また、これに先立ち、2月21日に開催されたNPB臨時代表者会議の席では春季キャンプでの感染者が大幅に減少したことが話題になったとのこと。ひとえに球団、受け入れ自治体、協力企業がうまく連携し感染対策したことが、好結果につながったことは間違いなさそうだ。

 それを”追い風”に三友商事では、センバツ大会を前にさらなるサポートを実施。全国から集まる高校に対し、除菌器の貸し出しを始め、宿泊ホテルでの感染対策に協力している。

 「高校球児が全力投球、フルスイングできることを望んでいます」

 現時点では1日の入場者数を上限2万人として開催予定のセンバツ大会。最後まで熱い戦いを期待したい。

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