通勤に数時間以上かかる場所に住みたい…従業員の「遠隔地への居住」、大企業の3割は認めず→その理由は?

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昨今のテレワークの普及で、毎日オフィスに出社しなくても勤務できる働き方は一般的なものになりました。株式会社Works Human Intelligenceが、「自己都合で遠隔地に居住する従業員の通勤や転勤の扱い」に関する調査を実施したところ、「遠隔地への居住」を何らかの形で「認めている」法人は約7割という結果になりました。

2021年8月25日~9月24日の期間に、統合人事システム「COMPANY」のユーザーである大手法人を対象として実施された調査で、64法人から回答を得ました。

はじめに「通勤に数時間以上かかるような遠隔地への居住を認めていますか」と聞いたところ、11.1%の法人が「無条件で認めている」と回答。「条件によって認めている」は57.4%で、そのうち「理由によって認めている」のは64.5%、「所定の距離、通勤時間の範囲内で認めている」のは29.0%でした。条件あり・なしを問わず、遠隔地への居住を何らかの形で認めているのは、あわせて約7割という結果となりました。一方で、全体の31.5%の法人が「認めていない」と回答したといいます。

遠隔地への居住を認めていない法人に対して理由を聞いたところ、「各種制度が遠隔地の居住を想定していないから」が最も多く、76.2%でした。次いで「出勤できることに重きを置いているから」が61.9%だったそうです。

続いて「通勤手当を定額ではなく実費支給としていますか」と聞いたところ、34.4%が「従来の通勤手当を廃止して実費支給に変更した」と回答。また、従来の制度は廃止せずに、対象者へ実費支給を行う制度を追加したのは26.6%で、合計すると、何らかの形で通勤手当の実費支給を行っている法人は61.0%となりました。2020年10月~11月に同社が実施した調査では、通勤手当の実費支給を「実施している」と回答した法人は26.4%となっており、この1年で倍増という結果になったといいます。

また、「通勤手当を実費支給している場合に、移動費の上限がありますか」と聞いたところ、42.5%の法人が「従前規定上の通勤手当の上限額を共通で利用している」と回答しました。一方で「上限額はない」と回答した法人もあり、30.0%を占めました。

遠隔地への居住を認めている法人に対し、「一時的に出社する時の移動費の扱い」について聞いたところ、「通常の通勤手当等と同様に、通勤の度に1回分の往復金額を支払う」と回答した法人が最も多く、34.6%でした。「その他」には「所定の上限額を補助し、差額は自己負担」といった回答もありました。

「自己都合で遠隔地へ転居をした後の対応」について、「その後の人事異動で職場近隣に居住する必要ができた場合に、転居に関わる制度の利用は可能かどうか」を伺ったところ、「すべて利用不可」が33.3%、「引越費用や赴任旅費等を全額または一部負担」が42.9%という結果となりました。「その他」の回答には、「現状では実例がないが、異動内容を考慮して個別判断」といった声があったそうです。

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調査を実施した同社は、「大手企業にはテレワーク中心の職場と出勤が中心の職場が混在し、定期的に人事異動が行われています。その際に、転居の費用が自己負担となっていると円滑な人事異動の妨げになる恐れがあり、また従業員も遠隔地居住を躊躇することも考えられます」と説明。「今後、多様な働き方として居住地の自由化を進めるには、テレワーク中心の職場と出勤主体の職場間の人事異動を希望者のみとしたり、自己都合による転居に対しても住宅支援制度を充実させたりする等、対策が必要になると考えられます」と述べています。

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