「瘦せていてもなります」 脳梗塞や心筋梗塞を招く「脂質異常症」 医師が症状や治療方法を解説

ドクター備忘録

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「脂質異常症」とは、血液中にコレステロールや中性脂肪が増加した状態のこと。検査をしなければ分からない病気で、脳梗塞や心筋梗塞の危険因子とされています。吉田病院付属脳血管研究所(神戸市兵庫区)の吉田泰久院長に詳しく聞きました。

――脂質異常症には、どのような症状がありますか?

すぐに分かる症状はないのです。血液中にコレステロールや中性脂肪といった脂質が増加すると、動脈硬化が進み、血流が悪くなります。そのため、脂質異常症は血液検査で判明します。

――具体的には、血液検査のどの数値で分かるのでしょうか?

「悪玉コレステロール」「善玉コレステロール」という言葉は聞いたことがあるでしょうか。「悪玉コレステロール」を「LDLコレステロール」というのですが、その数値が高いと血管内にコレステロールが蓄積していることが分かります。

――コレステロールが関係しているということは、脂肪分の多い食事を好むなど、食生活が乱れている人が脂質異常症になりやすいのでしょうか?

血液中のコレステロール値が高い人のうち、約30%は遺伝性、すなわち体質によるものと言われています。コレステロールはほとんどが体内で作られるため、もともとそういう体質の人は食生活に関わらず数値が高くなってしまうのです。ですから、痩せていても、脂っこい食事をほとんど食べていなくても脂質異常症になる可能性はあります。

――脂質異常症は女性にも多いそうですね。

はい。女性ホルモンには血液中のコレステロールを抑える働きがあるのです。しかし、閉経後の更年期以降、女性ホルモンの分泌は次第に減少するため、年齢を重ねるとともにコレステロール値が上昇することになります。

――治療方法はあるのでしょうか?

まずは食事など生活習慣の改善を行います。具体的には、摂取する脂分を良質なものに変えること。例えば、魚に含まれる不飽和脂肪酸はLDLコレステロールを抑制し、血栓を作らせない働きがあります。

――魚以外の食品、大豆や野菜はどうでしょうか?

大豆は脂肪分を便とともに排出すると言われていますし、野菜はビタミンや繊維が豊富に含まれているので積極的に食事に取り入れてほしいですね。

――乳製品はいかがでしょうか。

カルシウムが含まれている一方で脂肪分も多いので、取りすぎはよくないですね。

――食生活の改善で効果が出なかった場合はどうするのでしょうか?

その場合は薬物療法が必要とされます。先ほどもお話したように、体型や食生活によらない遺伝性の場合もありますので、医師と相談しながら根気よく治療を続けてほしいと思います。

◆吉田泰久 社会医療法人榮昌会 吉田病院 / 理事長兼院長 /
1952年12月の開設以来70年近くにわたり、神戸市の救急医療のなかでも脳卒中患者の診療を主に担い、急性期から回復期、在宅まで一貫した脳卒中治療を提供している。
診療科は、脳神経外科、脳神経内科、内科、循環器内科、リハビリテーション科

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