亡くした先代犬にそっくりでお迎え 大みそかにやってきた“娘”は、夫婦の会話を増やしてくれた

岡部 充代 岡部 充代

 

 真っ白な毛の中に真っ黒なクリックリの目。その目で見つめられると何でも許しちゃいたくなるほどかわいいマルチーズ(と思われる)ゆきーるちゃんは、推定1歳の女の子です。

 “思われる”“推定”と書いたのは、ゆきーるちゃんが元保護犬だから。正式な犬種や誕生日は分からないのです。動物福祉団体「ペッツ・フォー・ライフ・ジャパン(PFLJ)」(兵庫県西宮市)に保護され、その後、同じ西宮市内に住む岩沢知子さん(仮名)の家族に迎えられました。

「初めて会ったとき、6月に亡くなったちっぴる(先代犬)に似ていると思いました。ちっぴるは割とさっぱりした性格でしたが、ゆきは初対面のときからべったり。次に飼うなら保護犬をと思っていましたし、できれば子犬から迎えたかったので、私の希望にピッタリでした。主人も私もコロナの影響が大きい業界で仕事をしていたので、主人は『もう少し先でいいんじゃないか』と言っていましたが、私はどうしても飼いたくて、費用的なことを主人にプレゼンしたんです。私の“へそくり”も打ち明けて(笑)」(岩沢さん)

 その熱意に打たれたのか、ご主人は飼うことを承諾。PFLJでは「クイール」と呼ばれていましたが、スキーが好きなご主人は白い毛にちなんで「ゆき」という新しい名前を考え、名前を変えても犬が戸惑わないか獣医師に確認した上で、音感を似せた「ゆきーる」と名付けました。先代ちっぴるちゃんはどちらかといえば知子さんに懐いていたそうですが、ゆきーるちゃんは逆。実はご主人も知子さんと同じ気持ちだったのでしょう。

「ちっぴるが亡くなってから夫婦の会話が減っていたんです。飼う前と同じには戻らないんですよね。でもゆきーるが来てくれて、また会話が増えました」(岩沢さん)

 

 ゆきーるちゃんはPFLJに保護されたとき、毛が伸びてボサボサだったそうです。それを聞いた岩沢さんは、もう二度と行き場を失うことがないように、万が一ゆきーるちゃんとはぐれるようなことがあってもちゃんと帰ってこられるように、マイクロチップを装着して登録手続きをしました。

 マイクロチップとは動物の個体識別を目的とした電子標識器具。各チップに15桁の固有の番号が書き込まれていて、動物に埋め込んで所有者の情報をデータ登録しておけば、例えば地震などの災害で飼い主と離れ離れになったとしても、専用のリーダーで読み取りデータベースと照合することで、飼い主のもとに戻ってくる可能性が高くなるというものです。

 動物愛護法が改正され、2022年6月から犬や猫を販売する業者(ペットショップやブリーダーなど)にマイクロチップの装着が義務付けられることになりました。ただ、装着して終わりではありません。所有者情報の登録をしなければ、個体識別の役には立たないのです。マイクロチップを装着した犬や猫を迎えたら、登録内容変更の届出をお忘れなく!

 

「ゆきーるを迎えることになったとき、保護当時を知る獣医さんも看護師さんもとても喜んでくれたんです。もちろんPFLJの皆さんも。ちっぴるとの別れがあまりに突然だったので、正直、まだ乗り越えられていないところもあるのですが、ゆきーるのおかげで私自身の気持ちも家の中も明るくなりました」(岩沢さん)

 ゆきーるちゃんが岩沢家にやって来たのは昨年の大みそか。「長い休みのときに迎えてできるだけ一緒にいたい」という思いからでした。もうすぐ1年。ゆきーるちゃんはもうすっかり岩沢家の“娘”になっています。

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