冬の部屋干しで暖房を上手に活用する方法や注意点を解説

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寒い冬場は、冷たい外気のせいでなかなか洗濯物が乾かないので、最初から部屋干しするのがおすすめです。ただ、湿気がこもりやすい室内では雑菌が繁殖しやすく、いわゆる「部屋干し臭」に悩まされる原因となります。そんなときは、エアコンの暖房機能を上手に使って効率よく洗濯物を乾かしましょう。
今回は、冬の部屋干しで暖房を活用するコツや、暖房を使用して洗濯物を乾かすときの注意点について解説します。


冬の部屋干しに暖房がおすすめな理由

洗濯物を部屋干しするときは、エアコンの除湿機能を活用するのが一般的ですが、冬の部屋干しに関しては除湿機能よりも暖房を使うのがおすすめです。なぜ除湿ではなく暖房が良いのか、その理由は冬の寒さと除湿のしくみに関係しています。エアコンの除湿方式は、大きく分けて「再熱除湿」と「弱冷房除湿」の2タイプがあります。
再熱除湿とは、エアコンの室内機の中で部屋の空気を一旦冷やして水分を取り除いた後、その空気を温めて室内に戻す方式のことです。除湿された空気は再度暖められた状態で室内に戻されるので、部屋の温度をあまり下げることなく除湿できるのが特徴です。
一方の弱冷房除湿は、微弱な冷房運転を続けることによって部屋の湿度を目標値まで下げる除湿方式のことです。再熱除湿に比べると消費電力が少なく、省エネできるのが利点ですが、微弱とはいえ冷房をかけ続けることになるため、部屋の空気はだんだん下がっていきます。気温の高い夏場なら問題ありませんが、寒い冬場に弱冷房除湿を利用すると体が冷えてしまいます。
再熱除湿なら部屋の冷えは防げますが、消費電力がかさみます。そもそも、冬場は夏に比べるとそれほど湿度は上がらないので、除湿機能を使うよりも、暖房を活用して洗濯物を乾かした方が部屋も冷えず、電気代も節約できて一石二鳥です。
■部屋の乾燥対策にもなる
厚生労働省では、感染症対策として室内の湿度を50~60%に保つことを推奨しています。[注1]
ここでいう湿度とは、その空気が含むことのできる最大の水蒸気量(飽和水蒸気量)に対する現在の水蒸気量の割合を示すもので、正式名称を「相対湿度」といいます。飽和水蒸気量は空気の温度に比例しているため、暖房によって空気を温めると相対湿度が下がり、空気が乾燥した状態になります。通常なら加湿器などを使用して足りない水分を補いますが、部屋干しすれば濡れた洗濯物が加湿器代わりになるため、電気代の節約につながります。
[注1]厚生労働省:インフルエンザQ&A


冬の部屋干しで暖房を上手く活用するコツ

冬の部屋干しを効率的に行うために実践したい暖房の活用術や、洗濯・干し方のコツを3つご紹介します。
■1.洗濯はぬるま湯で、脱水時間は長めに
洗濯物は冷水で洗うよりも、お湯で洗った方が乾かす時間を短縮できます。風呂水ポンプのある洗濯機なら、お風呂の残り湯を使えるので省エネにもなって一石二鳥です。また、脱水時間はいつもより長めに設定し、しっかり水分を飛ばしておくと乾燥時間を短くできます。ただ、デリケートな生地だとお湯洗いによる色落ちや、長時間の脱水による傷みなどが発生するリスクがありますので、あらかじめ洗濯表示を確認しておきましょう。
■2.扇風機やサーキュレーターを併用する
暖房は部屋の空気を暖める機能こそありますが、風を送るパワーはさほど強くありません。洗濯物を速く乾かすためには、風を送って洗濯物の水分を飛ばす必要がありますので、暖房で部屋干しするときは扇風機やサーキュレーターを併用しましょう。扇風機やサーキュレーターはエアコンや暖房器具の対角線上に設置し、やや上方向に向けて風を送ると、より広い範囲に空気を循環させることができます。
■3.厚手の洗濯物は暖房の近くに干す
バスタオルやトレーナー、パーカーなど、生地が厚手のものは乾かすまでにかなりの時間を要します。洗濯物が濡れている時間が長くなると、雑菌が繁殖して部屋干し臭の原因となりますので、厚手の洗濯物はなるべく暖房の近くに干すようにしましょう。


冬の部屋干しで暖房を使う際の注意点

冬の部屋干しに暖房を活用する際の注意点を2つご紹介します。
■1.こまめに換気を行う
部屋干ししていると、洗濯物に含まれる水分によって室内の湿度が上昇します。適度な湿気は乾燥対策に有効ですが、あまり湿度が上がりすぎると雑菌が繁殖し、部屋干し臭やカビが発生する原因となります。暖房で部屋干ししているときは、こまめに換気を行い、水分を含んだ空気を外に出すことを心がけましょう。
■2.結露対策をしっかりと
暖房によって温められた空気が、冷たい外気に接している窓ガラスに触れると、空気の温度が一気に下がります。空気が含むことのできる水分量(飽和水蒸気量)は温度に比例して増えるため、空気が冷えると抱え込んでいた水分が放出され、窓ガラスに水滴がついて結露が発生する原因となります。結露はカビや雑菌が繁殖したり、建材を傷めたりする要因になりますので、窓ガラスに結露防止シートを貼ったり、除湿器を併用したりして、しっかり結露対策を行いましょう。


寒い冬場の部屋干しは暖房を使うのが効率的!

気温が低い冬場は、日差しがあっても洗濯物が乾きにくいので、部屋干しにした方が効率的です。本来、部屋干しでは室内を除湿するのが基本ですが、弱冷房除湿では部屋が冷え切ってしまいますし、再熱除湿の場合は電気代が割高になりますので、暖房を活用するのがおすすめです。部屋干しに暖房を活用する際は、扇風機やサーキュレーターを併用したり、こまめに換気を行ったりして、乾いた空気を循環させるのが時短のコツです。なお、外気温が高い日は暖房がすぐ停まってしまうので、その日の天気や気温によっては冬場でも外干しを検討しましょう。
天気予報専門メディア「tenki.jp」では、その日の天気や気温などの予測から計算した「洗濯物の乾きやすさ」を表す「洗濯指数」を公開しています。「大変よく乾く」「よく乾く」なら厚手のものでも乾くので外干しがおすすめですが、「部屋干し推奨」の日は最初から室内に干し、暖房を活用して乾かした方がよいでしょう。洗濯指数は10日先まで公開されていますので、毎日の洗濯計画にぜひご活用ください。

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