甘い香りのフルーツ「マルメロ」。北海道 北斗市の特産

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マルメロというかわいい名前の果物をご存じですか。色は黄色、形はコロンと丸く、甘い香りが特徴です。10~11月が旬で、日本ではそのほとんどが長野県で生産されていますが、北海道の北斗市でもわずかに収穫されています。道南に位置する北斗市では、市営温泉に浮かべたり、タクシーに乗せたりなど、市内のあちこちでマルメロが香っています。

甘くていい香り!!


甘く芳醇な香りが特徴。ジャムや砂糖漬けで味わう

マルメロは、皮が黄色、大きさは10cmほどで、デコポンのように“ヘソ”があります。洋梨やリンゴに似た甘く芳醇な香りが特徴ですが、マルメロというかわいらしい名前とは逆に、果実はかたくザラザラ、味はとても酸っぱいので、生で食べることはできません。ジャムやシロップ漬け、ハチミツ漬け、果実酒などにして食します。
日本では長野県をはじめ、青森県や秋田県など、冷涼な地域で収穫されます。ところが、長野の一部の地域ではなぜか、マルメロのことをカリンとよんでいます。見た目がカリンと似ているせいなのか、マルメロはカリンと混同されることが多いようです。でも、原産地を見てみると、マルメロはトルコなどの中央アジア、カリンは中国。両者はまったく違う品種なのに、その違いがあやふやになっているとは不思議ですね。

(写真はイメージ)


道南の北斗市の特産。新幹線駅にマルメロの木。キャラクターは“まるめ郎”

マルメロの生産量の約9割が長野県ですが、広い北海道で唯一生産しているのが、函館市の西隣に位置する北斗市です。およそ30年前から栽培されていて、今では市をあげての特産物となりました。
北斗市は北海道新幹線の終点「新函館北斗駅」を有しますが、その駅構内にもマルメロが植えられています。秋の終わりごろになると熟したマルメロが、乗客や観光客に甘い香りを放っています。
北斗市のマルメロのイメージキャラクターは“まるめ郎”。いつもはJA新はこだて本店の受付カウンターの上に、まるめ子、まる夫とともに3人の人形が並んで座っていますが、マルメロが収穫されるこの時期は、3人といっしょにマルメロそのものも並んでいるそうです。

北海道の北斗市でも栽培されています


市営農場「マルメロ団地」で収穫。温泉に浮かべて、町中でいい香り

北斗市では市営農場にマルメロを植えています。農場の名前は「マルメロ団地」。10月下旬に市職員や森林組合職員らで収穫しました。今年は夏の気温が高かったため生育が早く、収穫量は少なかったものの、大ぶりで見栄えのよい実がとれたとそうです。
収穫されたマルメロは、市営温泉に浮かべて「マルメロ風呂」として使われたほか、市内の商店などに配布されました。マルメロ風呂では80個のマルメロが湯船に浮かべられ、その甘い香りが入浴客に好評。毎年楽しみにしているリピーターも多いそうです(マルメロ風呂は11月7日で終了)。
また、函館市内のタクシー会社では、毎年秋になると、車内にマルメロを乗せて走ります。このサービスは12月上旬まで続き、地元の利用者や観光客にも人気となっています。
参考
『もっとからだにおいしい野菜の便利帳』, 高橋書店, 2011
果物ナビ:マルメロ
函館タクシー:タクシー車内にて「香りの果実マルメロ」(北斗市産)設置について
NHK NEWS WEB:特産の果実 マルメロ風呂で“いい湯だな” 北海道 北斗
北海道新聞電子版:マルメロ収穫 甘い香り 北斗の市営農場
函館新聞社 eHAKODATE:大ぶりの実たわわ 北斗でマルメロ収穫
北斗市観光ガイド:実は新函館北斗駅には、マルメロの木があります。
JA新はこだて:まるめ郎アルバム

タクシーに乗せられています

マルメロは1600年代にポルトガルから長崎に伝来し、ポルトガル語での呼び方「マルメロ」がそのまま日本で定着したといわれています。マルメロという名前はなんともかわいらしい響きですが、実はポルトガルの言葉だったのです。11月ももう下旬。北海道ではそろそろ冬支度を始める時期ですが、北斗市でタクシーに乗ると、マルメロのいい香りがするかもしれませんね。

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