「これは運命!」…ちょうど退職したところで「あっという間に大きくなる子猫の成長を見守れる」仲良し2匹を家族に

渡辺 陽 渡辺 陽

こむぎちゃんときなこちゃん(2歳・オス)は兄弟猫。2019年8月に東京都の「自由ヶ丘ニャンとかしよう会」の人が、自由が丘3丁目で2匹を保護したという。生後1カ月くらいだった。

「野良の母猫ともう1匹兄弟がいたそうですが、そちらは逃げてしまい、その時保護できなかったそうです」

その後、預かりボランティアのSさんが里親募集サイトの「ネコジルシ」で里親募集し、東京都に住む小田さんが譲渡サイトで見つけた。

小田さんは、初めから猫を飼うなら1匹だけではなく、猫同士で遊び相手になれるように多頭飼いしたいと思っていた。

「きなことこむぎは兄弟同時に募集していて、まだ生後2カ月になる前でとても小さかったんです。あっという間に大きくなる子猫の成長の様子を家族で見守れることが一番の決め手になりました」

2匹はそっくりで、目がくりくり。ふわふわした茶トラ柄がとっても可愛く、小田さんは一目見た瞬間から「可愛い!」と釘付けになった。さらによく見ると、預かりさんが同じ区内に住んでいることが分かり、「これは運命だ!」と家族に相談して即決したという。小田さんは、その日のうちにネコジルシを通じて応募した。

いつか猫と暮らしたい

小田夫妻はずっと猫と暮らす生活を夢見ていた。小田さんは実家で猫をずっと飼っていたし、夫は猫が大好きで、折に触れては「猫がいたら楽しいだろうなぁ」とよく言っていた。

「娘は小さい頃から猫好きで、よく猫カフェに連れて行ってとねだられました。最近昔の写真を見返していると、小さな娘が今のこむぎにそっくりな猫を猫カフェで可愛がっていた写真が出てきて、運命を感じました」

小田さんが仕事を一旦退職することになり、再就職するまで時間ができたので、猫を飼うことを決断したそうだ。

「猫を飼うならできれば子猫のうちから育てたい、でも仕事を持っていると子猫のお世話はなかなか大変で無理だろう、とこれまで諦めていたのです。だから、飼うなら今しかない、と思いました」

その時、ペットショップで『買う』ことは全く思いつかず、「困っている子を家族に迎えよう」と、保護猫の里親募集サイトばかり見ていたという。

「私が実家に住んでいた頃、迷いこんできた野良猫を保護して飼っていたり、母親が野良猫を保護して自費で不妊去勢手術をしてあげているのを見てきたからかもしれません。TNRと今でこそ耳にするようになりましたが、当時の私はそれが保護猫活動とはよく分かっていませんでした」

小さな可愛い子猫たち

応募してすぐにSさんから連絡があった。歩いて行けるくらい近所に住んでいたこともあり、3日後に小田さんと当時小学6年生だった長男、4年生の長女の3人でお見合いに行った。

子どもたちの両手のひらに乗るくらい小さなこむぎちゃんときなこちゃん。抱っこさせてもらうと、あまり猫に慣れていない子どもたちは、その可愛さにメロメロになった。その日はお見合いだけして、1回目のワクチンが済んだ2週間後の2019年9月14日、Sさんがキャリーに入れて2匹を家に連れてきてくれた。

ケージやトイレなど猫たちとの新生活に必要なものを一通り揃えていたが、脱走防止柵をつけるようアドバイスをしてもらい、とりあえず手作りの簡易的なもので脱走を防止、後日猫用の脱走防止扉を作っている業者さんをみつけて、玄関とリビングにしっかりした扉をつけてもらった。

「兄弟一緒に来たからかあまり怯えた様子はなく、最初からケージの中で2匹でどったんばったんトイレの砂まみれになりながら遊んだり、ハンモックで並んで寝たり、小さな箱にくっついて入ったり。とにかく何をするにも一緒の仲良し兄弟で、すぐに家にも慣れてくれました」

兄弟仲良く

こむぎちゃんは人が好きで、いつも自分から我が家に遊びに来たお友達にすり寄って行く。ただ、生後半年頃からのコロナ禍で来客がパタっとなくなったため、急に人見知りになってしまい、ピンポンと呼び出し音が鳴ると一目散にカーテンの裏に隠れて出てこなくなった。

きなこちゃんはとても食いしん坊で、ちょっと目を離した隙にダイニングテーブルの上の食べものをすぐに持っていく。特にパンには目がないのだが、ビニールやコルクマットなども食べてしまうので、何度か誤食で動物病院に駆け込んだことがある。コルクマットはすべて撤去した。「そろそろごはんですよー」というおねだりもきなこちゃんの方が圧が強めだという。

やんちゃなこむぎちゃんとおっとりきなこちゃん。猫プロレスをしたり追いかけっこをしたり、気がつくと2人くっついて眠っていたり、毛繕いしあっていたりする。

「兄弟仲良しな姿にはほっこり癒されています」

猫のお世話をして子ども達が成長

2匹を迎えてから2年経ったが、2人の子どもたちは猫のお世話をすることで大きく成長した。

「長男はもともとそんなに動物好きなわけではなく、どちらかというと動物に対して苦手意識を持っていました。こむぎときなこがやってきた当初もどう接していいかよくわからないようで、あまり自分から何かをすることはなかったように思いますが、そのうちかわいい、かわいいと抱きしめたり撫でたり、頼むとごはんや掃除もしてくれるようになったんです。こむぎが体調を崩してエリザベスカラーをつけてぐったり寝ていた時には、添い寝しながらがんばれーと励ましてあげていました」

長女は猫が大好きだったので、当初から大喜び。張り切ってお世話を手伝ってくれていた。

「今では2匹のお母さんのように2匹のちょっとした健康の変化を見逃さず、ここに傷ができてるよ!とか目が腫れてるよ!とか私よりよく気付いて教えてくれるお世話上手になりました。そして娘が机で勉強しているといつも机の上にきなこが寝そべって応援しています」

帰宅時カギの音でわかるのか、「ただいまー」とドアを開けると、2匹が玄関まで迎えに来てくれていたりするそうだ。「そういうのは、たいていごはんのおねだりですが…(笑)。家を出る時には玄関までついてきて見送ってくれたりします。私たちを家族と思ってくれてるんだな、好きでいてくれてるんだな、というのが伝わってきていつも幸せな気持ちになります」

待ちきれない時は猫脱走扉の木枠によじ登ってスパイダーマンのような姿になって待っている。猫のことで家族の会話もはずみ、2匹から毎日たくさんの笑顔と癒しをもらっているそうだ。

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