住所に使われる「地番」「住居表示」の違いをご存知ですか まったく異なるルールの書き表し方

小嶋 あきら 小嶋 あきら

 「番地」と「番・号」。どちらも住所を書くときに使いますよね。この二つ、どのような違いがあるかご存知ですか。実はそれぞれまったく異なったルールの書き表し方なんです。

大阪梅田一番地?

 「は〜ん〜し〜ん〜 は〜ん〜し〜ん〜 大阪梅田一番地♪」という歌が昔ありました。阪神百貨店のテレビコマーシャルです。そうなんですね、あの阪神百貨店があった場所がその頃、大阪市北区梅田の一番地だったのですね。おそらく、たぶん、ですが。

 「ここは地獄の一番地」なんていうお決まりのセリフもありますが、その土地のその場所を表すときにこの「何番地」というのが使われます。

 つまり、たとえば大阪市北区の、梅田という地域にある土地。その中の誰それさんが持っている土地のひと区画(一筆、二筆と数えます)を1番地、その隣の誰それさんの土地ひと区画(一筆)を2番地、というふうに決めて、番号を振っていったものです。これは法務局(登記所)が定めたもので、「地番」といいます。いまも登記簿などには、この地番が使われています。

 その土地の広さに関係なく、一筆ごとに番地が決められますから、たとえばもともと広いお屋敷が建っていたところを取り壊して、土地を細かく分けて売ったりすると「分筆」ということもあります。その場合には「ナントカ番地の1」とか「ドコソコ番地の2」というような番号が振られます。

 番地で表す住所は「その街の何番地に建っているのが私の家です」ということですから、とてもシンプルですね。地図を見てその番地の場所を調べて、そこにある家の改札を見て確認すれば間違いないですし、郵便屋さんも間違いなく配達ができます。

 ただ、この「番地」というのは、その町名のエリアにある土地一筆ごとに番号が振られますから、これがもし面積の広い町だったりすると「15864番地」とか、やたらに数が大きくなってしまうことがあります。また、そもそも土地というものは整然と並んでいませんし、番地の振り方にもルールがはっきりしない部分もあって、特に住宅の密集している市街地などでは、その番地を探すのが大変ということもあります。

 そこで登場したのが「住居表示」という新しい住所の表し方です。

とても便利な「住居表示」

 住居表示というのは、1962年5月10日に施行された「住居表示に関する法律」に基づくものです。

 たとえば道路とか川とかで区切られた土地のひとかたまり、ひと区画ごとに「1番」「2番」と番号を振っていきます。これを「街区符号」といいます。次に、その区画の周囲のどこかを起点にして、そこを「1号」と決めます。その後は右回りに、10メートルから15メートルごとに「2号」「3号」と「住居番号」を振っていきます。

 そして、その建物の「住所」は、「出入り口の場所」で決まります。

 特に他意は無いのですが、冒頭で取り上げた勢いで、阪神百貨店の住所を例にさせていただきます。Webによりますと阪神百貨店の住所は「大阪市北区梅田一丁目13−13」となっています。これは正式に書くと「一丁目13番13号」です。

 つまり阪神百貨店は「梅田一丁目の13街区にあって、その周囲に振られた住居番号13の場所に面してメインの出入り口があります」ということですね。

 この住居表示だと、とりあえず現地で「何丁目何番」という区画を探して、その周囲の「何号」を辿っていけば、目的地にたどり着けます。

「目的地は5番12号、この家の前の表示板は5-8となってるから、あと4番。40メートルから60メートル先か」と目処が付きます。とても便利なんですね。

 ただし住居表示は現在、日本全国で導入されているわけではなくて、未実施のエリアではいまも「番地」が使われています。

番号の振り方でわかる「その街の中心」

 街区符号や住居番号の振り方で、その起点、つまり「1番」や「1号」をどこにするか、というのは自治体ごとにそれぞれルールがあります。たいていはその自治体の役所とか駅のような、中心地に近い角から1番、1号と振っていくことが多いようです。大阪市の場合は、これが「大阪城」ということになっています。なので、大阪城を挟んで西の区と東の区、また北の区と南の区では、1番、1号の位置が逆になります。

 街を歩いていて、住居表示の銘板を見かけることもあると思います。「その番号の振り方を観察すればその市町村の中心地の方角がわかる」とか、ちょっとしたウンチクとして面白いのではないでしょうか。

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