東京五輪男子マラソン6位入賞の大迫傑…SNS時代だからこそ 子どもたちに伝えたいこと

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 東京五輪男子マラソンで6位入賞した大迫傑さんは、東京五輪が終わって間もない8月末から富山を含む全国10カ所を巡り、小中学生を対象にしたプロジェクト「シュガーエリートキッズ」を実施しています。プロジェクトでは、ストレッチやトレーニング法を教えるほか、子どもたちに夢をかなえるための考え方を熱く語っています。現役を引退し、次の目標の一つに掲げるこのプロジェクトへの思いや自身の子ども時代について、コノコト編集室が聞きました。

自分に合っていなければ
違う場所に行き、次の挑戦をするだけ

―陸上を始めるきっかけは?

 小学生の時は野球チームに入っていました。練習ですごくよく走らされて、タイムも速くて、走るのも好きだったので、中学では陸上部に入りました。

 野球も普通にできたんですけど、なんか自分自身に合っていなかった。もともとスポーツは好きで、水泳や剣道もしていましたが、これも合っていないなと思って練習をしなかったこともありました。それなら違うところに行って、次の挑戦をすればいいじゃんという感じで、自分に合うものを探していき、陸上にたどり着いた形です。

自分で考える大切さを学んだ中学の部活動

―子どものころから自分で考えて決めるタイプだったんですね。

 決断は、最終的に自分でしてきました。目標を決めて、そこに向かってどうしたらいいのかを自分で調べていました。

 自分で考えるようになるきっかけは、中学校の部活動でした。最初は、僕が速くなる方法は、先生の言うことを聞くことでした。それが正解か不正解か分からないけれど、先生に質問しながら、言われたことを全部やってみようという感じ。そうするうちに、自分の中でイメージができてきて、これは正しい、正しくないというのが分かってきて、独り立ちできるようになったんだと思います。

 全国大会で優勝したいという強い目的意識があったことも、考えることにつながりました。顧問の先生には「自分でこれをやりたいと言っているけど、意味をちゃんと理解してからやりなさい」とよく言われ、とにかく自分で考えることの大切さを教えてもらいました。

スポーツで学んだこと 人生を豊かにする鍵に

―次世代を育てる「シュガーエリート」の活動に力を入れています。その理由は?

 アスリートは、それぞれがやっている競技の良さを伝えることが一つの使命です。ただ自分たちがいろいろ挑戦し、学んできたことの中には、スポーツの世界だけじゃなく、現代の世の中を幸せに生きていく、人生を豊かにしていくために必要なことが、たくさんあると思うんです。そういうことを伝えていくことで、世の中を少しでも元気にしていきたいというのが究極の目標ですね。

人と比べがちな世の中に危機感

―大迫さんは、プライベートでは小学生と3歳の女の子のお父さんです。親としての視点が加わったことも、何か影響したのでしょうか。

 確かに自分が親になって、子どもに何ができるのかを考えたことも「シュガーエリート」を始めるきっかけの一つです。

 また最近のこのコロナの情勢や、SNSが普及する社会を見ていて、みんな自分と向き合うことや、主語が自分になることを忘れているなと感じていたこともきっかけとなっています。例えば、せっかくおいしくご飯を食べていても、SNSで他の人がもっと高価な物を食べているのを見たら、急に自分が劣っているように感じたりしますが、実はそうではなくて、自分がおいしいと思ったことが幸せなんです。

 現代社会は、情報がたくさんあるのでつい人と比べがちですが、このままだと幸福度が下がってしまう。そんな危機感から、プログラムでは夢を持つことは他人を気にすることではないんだよということを、子どもたちに伝えています。

―最後に、子どもを見守る大人たちにアドバイスを。

 僕自身、子どもが「やりたい」ということは否定しません。応援するだけと決めているので。そのほうが、感性が磨かれるのではないかなと思っています。親も子もお互いの自由を意識することが大事ではないでしょうか。

◇ ◇

大迫傑(おおさこ・すぐる) 中学校で本格的に陸上を始め、佐久長聖高校から早稲田大へ。卒業後は日清食品グループ、ナイキ・オレゴン・プロジェクトを経てナイキ所属のプロランナーとして活動。2018年シカゴマラソン、2020年東京マラソンで日本新記録(当時)を2度更新。東京都出身、30歳。

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