旭川女子中学生凍死 第三者委員会の結論に注目、風化を許さなかったネット社会 小川氏が解説

小川 泰平 小川 泰平
イジメの被害者となり、雪の公園で亡くなった女子生徒が通っていた北海道旭川市立の中学校(撮影・小川泰平)
イジメの被害者となり、雪の公園で亡くなった女子生徒が通っていた北海道旭川市立の中学校(撮影・小川泰平)

 今年3月23日、北海道旭川市内に住む当時中学2年生の廣瀬爽彩(さあや)さんが同市内の公園で凍死した姿で発見され、2年前以上前からせい惨なイジメに合っていたことが判明した。今月18日には遺族の代理人が同市内で会見を開いて遺族の手記を公開したことで、加害者とみられる少年少女だけでなく、学校側や市教委などの対応が問題視されている。元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏は当サイトの取材に対し、第三者委員会の結論に注目し、事件を風化させなかった要因として「YouTubeで情報発信した人たち」の存在を挙げた。

 爽彩さんが公園で凍死していた背景に「イジメ」があったかどうかを再調査するために立ち上げた第三者委員会。遺族の母親は「第三者委員会には今も違和感と疑問をぬぐい去れません。公平で中立な調査が行われているのか、誰が、どんな調査をして、本当に真実に迫ろうとしているのか。調査の進捗に関する情報が極端に少なく、調査委員会の動きを、どう評価すれば良いのか、いまだ戸惑っています」と手記につづっている。

 小川氏は「第三者委員会には11人いて、内訳は弁護士5人、医師2人、臨床心理士2人、社会福祉士と大学教授が各1人です。名前は公開されていないようですが、いずれも地元では著名な人たちですので、抗議等が本人に殺到することなどを配慮しているためだと思われます。旭川で地元の人に聞いても『第三者委員会には期待していない』と、みなさん同じように言っていました」と明かした。

 さらに、小川氏は「全員が『先生』と呼ばれる方々で素晴らしい経歴を持った方たちですが、全員が北海道の人で、教育委員会からの依頼を受けて講演をしている人もいる。果たして、第三者委員会として本来の機能を果たせるか。遺族の代理人として会見した弁護士は『納得できない。疑問がある』と違和感を示しています」と付け加えた。

 その上で、小川氏は「素晴らしい経歴の先生たちがきちんと『第三者』として機能を果たしてくださるのではないかと、ひそかに期待しています。エールを送る意味でも、『期待していない』『出来レース』等と敢えて辛口なことも私は言ってきました」とし、「第三者委員会から『イジメがあった』という結論が出た場合、それは出るはずですが、『いつ、どこで、誰が、誰と一緒に、誰に対して、どのような行為(イジメ)をしたのか』が明らかになるわけです。そこに犯罪の可能性があれば警察が動くことになる。2年前、爽彩さんが旭川市のウッペツ川に入水した事件では大きな動きをしなかったが、今回は違ってくるのではないか。私もイジメではなく、犯罪だと思っているので、第三者委員会の結論に注目したい」と見解を述べた。

 警察も看過できなくなる背景には、旭川での「イジメ疑惑」が全国的なニュースになったことが挙げられる。小川氏は「今月18日に遺族の代理人が会見をしたことで、これまで報じてこなかった大手メディアも取り上げた。そのことによって、事件が動き始めた印象がある」と潮目が変わったことを指摘した。

 そして、自身も現地取材を通してYouTubeチャンネル「小川泰平の事件考察室」で9回に渡ってリポートしてきた。小川氏は「3月にご遺体が発見されてからの5か月間、この事件を風化させなかったのは、YouTubeをやっている人たちです。私が取材をする前から色々なYouTuberが旭川に入り、またSNS等で色々な情報を発信してきた。学校や市教委には『この問題を風化させて沈静化させたい』という思惑を感じたが、YouTubeをやっている人たちが沈静化させなかった。今や、YouTubeは『個人放送局』と言われていますが、今回の事件の進展にも大きな役割を果たしたと思います」と分析した。

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