元NMB"天真爛漫のおバカ"近藤里奈が真剣に語る、脱アイドルのシビアなセカンドライフ

石井 隼人 石井 隼人

映画『かば』(7月24日公開)で、印象深い演技を披露している無名の若手女優がいた。どんなキャリアの持ち主なのかと会いに行ってみたら、NMB48の元メンバーだった。今回初めて長編映画に出演する近藤里奈(24)は、13歳から18歳までNMB48に所属し、2016年に卒業してからは舞台を中心に地道に女優活動を行ってきたという。

転身して女優の道を歩む元アイドルは数多いが、大成するのはほんの一握り。元アイドルが歩む第二の芸能人生は思いのほか厳しそうだ。グループ時代は「天真爛漫のおバカ」キャラで売っていたという近藤が、アイドルのシビアなセカンドライフを真面目に語る。

NMB48の一期生になったのは、中学2年生のころ。社会人経験は当然の如くゼロ。それが突然大人だらけの世界に入るのだから、右も左もわからない日々が続くのは当たり前。「握手会でもファンの方と上手く喋ることができず、“塩対応問題児”と言われました。ファンも当然離れていくので、握手会の時間もどんどん短くなって。アイドル当時を振り返ると反省しかありません」と若気の至りに後悔ばかりが募る。

女優への憧れが膨らみ、2016年に18歳でグループを脱退。しかし契約上の問題で、2年間芸能活動を休止することに。「辞めてからの2年間は地元・滋賀に戻り、何もできないもどかしさを抱えながら過ごしていました。時間が有り余ってるので余計な事ばかりを考えてしまい、一般職に就こうかとも真剣に悩みました。同世代の女の子たちがドラマやバラエティで活躍する姿を見るのも悔しくて。テレビを見ることすらできなかった」と葛藤を明かす。

オーディションにさえ参加させてもらえず

18歳という瑞々しい年齢に加えて、同年代は就職か進学かの岐路にある。自分にあるのは焦りばかり。しかし女優になる夢を諦めることはできなかった。何故ならばNMB48を通して経験した芸能の仕事がしっくりときていたからだ。「私は心の底からやりたいと思ったことしか長続きしない性格。芸能の仕事しかできないと思ったし、家族もそれを理解して背中を押してくれました」と家族の支えに感謝する。

アイドル時代に知名度が高かったり、人気があったりしたのならばまだしも、近藤はブレイク半ばでの巣立ち。上京後は演技のワークショップに通ったり、オーディションを受けたりの地道な下積み生活。ときには“元アイドル”という肩書きに足を引っ張られることもあったという。

「アイドルを卒業した後に女優業に進む子は多いですから、『またAKBグループの元アイドルが女優になりたいとか言っているよ』と捉えられることが多い。あるプロデューサーの方からは『元アイドルを出すなら素人を出した方がいい』と言われ、オーディションにさえ参加させてもらえませんでした」と唇を噛む。

そんな悔しさをバネにオーディションで勝ち取ったのが、大阪市立鶴見橋中学校に実在した教師と生徒の姿を描く『かば』への出演。泣きの演技も披露する。「撮影前は泣けるだろうか?と不安でしたが、カメラの前に立った瞬間に感情がこみあげてきた。演じた役柄の年齢も自分と同世代で等身大だったので、演じやすかったのかもしれません。泣きの演技は結構得意」と見た目とは裏腹に肝が据わっている。

約8年ぶりとなるグラビアを『週刊プレイボーイ』で披露。映画『かば』も公開されて、2021年は勝負の年になりそうだ。目標は朝ドラへの出演。「元アイドルという肩書きは足枷になることもあるけれど、それを飛び越えて『出演してほしい!』と思わせるような女優になりたい。私のことを何も知らないのに『元アイドルだから…』と拒まれるのはイヤ。見返したい気持ちがあるので、沢山の方々に『かば』での成長した姿を見ていただきたい。業界関係者の方々からのオファーを待っています。DMに連絡をください!」。“天真爛漫のおバカ”から“演技派女優”へ。転身あるのみ。

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