図書館の駐輪場に住み着きケガを負っていた猫、一人暮らしの飼い主を毎日お出迎え 外泊もアロマもしなくなった

渡辺 陽 渡辺 陽

図書館の駐輪場で甘えてきた猫

ミィシャちゃん(7~8歳・メス)は、図書館の駐輪場に住み着いている野良猫だった。

岡山県に住むひろみさんは、通勤途中によく図書館に立ち寄っていた。2015年4月上旬の夕方、いつものように自転車で図書館に行った。図書館から出ると、駐輪場に停めた自転車のそばに猫がうずくまっていて、「ミー」と鳴きながらすり寄ってきたという。後ろ脚を怪我しているのか、下半身がグラグラしていて、ヨロヨロ歩いていた。

「駐輪場に来る人みんなに愛嬌をふりまいていて、人懐っこすぎるのでゾッとしました。公園が近いのでご飯はもらえるけど、虐待目的で餌付けする人もいると聞きましたし、スケボー少年たちは猛スピードで公園の中を走っているし、気になったので、それから毎日仕事帰りに様子を見に行きました」

縁あって迎える

ひろみさんは猫を保護したいと思ったが、いきなり捕まえて帰るわけにもいかないので、しばらく様子を見ることにした。1ヶ月ほど通っているうちに、猫に人間用のジャコをあげている女性と、この猫に寝床とごはんを与えている男性と仲良くなり、いろいろ事情を聞いた。

猫は半年前から公園に住み着いていて、怪我は最近車にひかれて骨折したのだろうということだった。男性は、「飼うつもりはないので病院には連れていかない」と言い、女性は、「飼いたいけどペット禁止物件ということが分かったの」と言った。ひろみさんが、「じゃあ私、連れて帰っていいかな?」と言うと、二人は「病院に連れて行ってあげて、飼ってくれるならそれが一番良い」と喜んだ。ひろみさんは、翌日、5月8日にキャリーバッグを持っていき、女性に手伝ってもらって猫を保護した。

「もともと動物が好きで、縁があったら一緒に暮らしたいと思っていました。犬に縁があったら犬と暮らしていたと思います。今回、たまたま猫に縁があったのです」

嫌なことも猫といたら忘れられる

連れて帰った当日は、怖がって、なるべくひろみさんから離れようと、隅っこで気配を消していた。あえて構いすぎず、いつも通り過ごしていたら、翌日の夜には自分から腕枕をせがんできて、「この人が新しい母ちゃんか」という感じだった。

公園では「ミィちゃん」と呼ばれていたが、そのままでは芸がないのでなんとなく「ミィシャ」という名前にしたという。

性格は超ビビリ。あんなに人懐っこかったのに来客があると絶対に出てこない。

ミィシャちゃんを保護した時、ひろみさんは独立開業準備中でバタバタしていて、初めての猫との生活にさらに慌ただしく過ごしていた。

「バタバタ過ぎて、大変だったこととかも覚えていないんです。色々不安だったはずだけど、すごくミィシャに救われたんだと思います。ちょっとくらい嫌なことがあっても、猫を吸っとけば回復します!」

ミィシャちゃんを迎えてから、ひろみさんはまったく外泊をしなくなった。誤食するといけないので植物を飾らなくなり、アロマや香水を使わなくなった。一人暮らしなので、帰ったら必ずお迎えして大歓迎してくれるのが嬉しいのだという。

おすすめニュース

気になるキーワード

新着ニュース