「接種が進んでも、感染が再拡大する懸念って?」ワクチンの疑問、お答えします<後編>

「明けない夜はない」~前向きに正しくおそれましょう

豊田 真由子 豊田 真由子

感染収束の切り札であるワクチン。「どれくらいワクチン接種が進んだらよいのか?」「英国では、ワクチン接種が進んでも、なぜ感染が再拡大」――最新のデータを基に、豊田真由子がお答えします。

目次
#1 緊急事態宣言
#2 ワクチン接種の進捗状況
#3 いつ頃接種できるようになる?
#4 海外では行動規制が緩められているが、日本はいつになる?
#5 どれくらいワクチン接種が進んだらよいのか?
#6 英国では、ワクチン接種が進んでも、感染が再拡大
#7 世界全体で収束させることが必要

どれくらいワクチン接種が進んだらよいのか?

新型コロナウイルスについて、どれくらいワクチン接種が進めば、集団免疫を獲得できるかというのは、確定的な結論は出ていない状況ですが、7割から9割の接種率で集団免疫が得られ、そして、4割程度で感染動向に変化が現れるという認識が示されています。

(1)米国ファウチ博士(アメリカ国立アレルギー・感染症研究所長)

多くの人が免疫を持つようになることで感染が広がりにくくなる「集団免疫」について、アメリカ政府の新型コロナウイルス対策チームのファウチ博士は、「はっきりした数字をあげることはできないが、個人的には70~90%の間のどこかだと思う」と述べ(2020年12月24日)、「集団免疫」の状態になるには、ワクチンを接種したり、ウイルスに感染したりすることで人口の7割以上が免疫を持つようになる必要があるという見方を示しています。

https://www.nytimes.com/2020/12/24/health/herd-immunity-covid-coronavirus.html

 割合の振り幅が大きいのは、不確定要素が多いためです。ワクチン接種や既往感染による免疫の獲得が、他者への感染をどこまで防げるか、より感染力の強い変異株の登場、マスク着用や距離の確保といった感染防止措置の程度、免疫の持続期間や環境的要素(人口規模や人口密度、集団内での免疫の均一度等)等によっても変わってきます。

(2)野村総合研究所

野村総合研究所によると、新型コロナワクチンの接種が先行する英米やイスラエルでは、接種を完了(2回)した人が、人口比で4割に達すると、新規感染者が減少する傾向が明確になったと分析しています。

米ファイザー製のワクチンのみを使用する想定で、日本で4割に達する時期を試算しており、6月17日から1日100万回接種が実現した場合、9月9日に接種完了率が4割に到達。1日80万回のペースにとどまれば、4割の接種完了は10月1日にずれ込む結果となったとのことです。

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