「いつ頃接種できるの?」「行動規制はいつ緩められる?」ワクチンの疑問、お答えします<前編>

「明けない夜はない」~前向きに正しくおそれましょう

豊田 真由子 豊田 真由子

海外では行動規制が緩められているが、日本はいつになる?

各国の対応は、ワクチン接種の普及状況と、国民がどこまでの感染状況を許容するか、主要産業の種類等によっても、異なってきます。

ワクチン接種が進んでいる一部の国々では、社会経済活動の再開に向けた準備が加速しています。

例えば米国CDC(疾病予防管理センター)は、5月13日、ワクチン接種を完了した人は、屋内外でマスク着用や対人距離の確保が不要となる(ただし、飛行機やバス、列車での移動の際や、病院などでは引き続きマスク着用を求める)という新たなガイドラインを公表しました。

フランスでは、6月9日、飲食店の店内営業が、およそ7か月ぶりに認められたほか、夜間の外出制限の開始時間が、午後9時から11時へと変更されました。

海外からの観光客についても、ワクチン接種完了証明やPCR検査の陰性証明などを提示することを条件に、EU域内や、日本・オーストラリアなどからの受け入れを再開しました。

ヨーロッパでは、ドイツやイタリア、スペインなども、条件付きでEU内や日本等の各国から観光客の受け入れを再開しています。(※ただし、現時点では、ヨーロッパから日本に帰国した際に、自宅や宿泊施設での14日間の待機が求められますので、渡航を計画される際は、ご注意ください。)

ここで注目したいのは、これらの規制が緩和された国々の現在の感染状況が、日本に比べて良いわけではない、ということです。具体的には、新規感染者数(直近1週間平均の1日当たり)を見ると、6月9日時点で、米国14,600人、フランス6700人、英国5900人、スペイン4000人、ドイツ2600人、イタリア2100人、そして、日本2200人です。

ではどうして、これらの国々は、制限を緩和できているのでしょうか? 

最も大きいのは、ワクチン接種が進んでいることにあります。ワクチン接種(2回)が完了した人の人口に占める割合は、6月10日時点で、イスラエル59%、英国43%、米国42%、スペイン26%、ドイツ25%、イタリア23%、そして、日本は4%となっています。

また、これらの国々は、以前の感染ピーク時の状況が極めてひどく、現在のような新規感染者が数千名というのは、ピーク時に比べれば、状況が大幅に改善された(=相対的に感染状況が良くなっている)と捉えられていると言えます。ピーク時の新規感染者数(1週間で平均した1日分)は、米国25万人、英国6万人、フランス5.6万人、スぺイン3.7万人、ドイツ2.5万人、イタリア3,5万人、そして、日本は6400人です。

数千人の新規感染者がいても、ピーク時に比べれば、感染は大幅に減ってきて、劇的に改善してるよね!というポジティブな評価なのだと思います。一方、日本は、元々の感染者が相対的には少ないのですが、国内で見ると感染を抑えられていない、という評価になる、という違いがあります。

また、文化・社会や国民性の違い等もあると思います。例えば、マスク着用について、日本ではコロナ以前から、冬や花粉症の時期などは、街の中でマスク姿の方がたくさんいるわけですが、欧米は違います。私自身、ジュネーブに赴任した際、日本の感覚でマスクを付けていたら、街を歩く人にあからさまに避けられ、仕事場であるWHOに行っても、「マスクしてる人は見ないなあ・・。マスクをしているということは、『相当深刻な感染症に感染している人』と思われちゃうんだよ」と言われ、着用をやめました。

国民の抵抗感が大きい分、早く緩和することが、より一層強く求められた、といった面もあるかと思います。

 【後編】に続く。

【参考資料】
日本の新型コロナワクチン接種状況
ワクチン接種会場検索
世界の新型コロナウイルス感染状況
世界の新型コロナワクチン接種状況(2回接種完了した人の人口に占める割合)
集団免疫(米ファウチ博士インタビュー)
新型コロナワクチンについて(厚生労働省)
新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(令和3年6月9日)
変異株に対するワクチン予防効果(英イングランド公衆衛生局(PHE))
新型コロナウイルス感染症の現在の状況と厚生労働省の対応について(令和3年6月12日版)
新型コロナウイルス感染症の患者等の発生について(空港検疫)(令和3年6月11日版)

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