2度も飼育放棄された高齢猫 先住猫のいる家庭に保護され、今ではすっかりムードメーカーに

渡辺 陽 渡辺 陽

二度目の飼育放棄

ももちゃん(8歳・メス)は、2度の飼育放棄を経て保護された。1回目は独身の女性が飼っていたが何らかの事情で飼えなくなり、その人の妹が働く会社の社員寮で飼われることになった。そこではみんなに可愛がられていたが、2019年11月、その社員寮が取り壊されることになり、妹を含め社員が総出で引き取ってくれる人を探したという。

場所は東京都葛飾区。飼い主を募集する貼り紙が、保護猫活動をしていたAさんの目に留まった。詳しい事情を聞くためにAさんが連絡すると「何とか保護してもらえないか」と頼まれた。Aさんは当時、猫を30匹ほど保護していたのでためらった。しかし、2回も飼育放棄されたももちゃんが不憫で、もう7歳ということもあって、Aさんは保護することを決心した。ももちゃんはとても大人しくて、あまり感情を表に出さない猫だった。淡々とケージの中で過ごしていたそうだ。高齢だったので、Aさんは新しい飼い主を見つけられるかどうか不安だったという。

無表情だった猫、翌日にはゴロスリ

東京都に住む坂田さんは、アトムくんという14歳の猫を飼っていたが、新たにもう1匹迎えたいと思っていた。

「アトムはとても大人しくていい子だったのですが、時々『認知症かな?』と思うことがあったんです。もう1匹猫がいたら一緒に遊べるし、刺激があったら元気になるのではないかと思いました」

坂田さんは譲渡会に行ったり、譲渡サイトをチェックしたりした。アトムくんも高齢なので、5歳くらいの落ち着いたメス猫を探したという。

譲渡サイトには、白くてまん丸で愛嬌のある猫が掲載されていて、坂田さんは写真を見て一目惚れした。もう7歳だったので里親が見つかりにくいだろうと思い、ももちゃんの譲渡を希望した。

12月8日、トライアルを始めるためにAさんがももちゃんを家に連れてきてくれたが、とても太っていて、毛は硬くゴワゴワ。「これが猫の毛?」と驚いた。無表情で、アトムくんと馴染めるかどうか不安も覚えた。アトムくんは恐る恐る観察していたが、ケージ越しに挨拶した。

最初は警戒していたももちゃんだが、翌日にはごはんも食べて、トイレもできるように。撫でるとスリスリゴロゴロと甘えてきたという。

「最初は不安でしたが、アトムが優しく受け入れる体勢になったので迷いが吹っ切れ、1週間後の12月15日、私の誕生日に正式譲渡してもらいました。真っ白まん丸で白桃みたいだからももという名前にしました」

一家のムードメーカー

性格は天真爛漫、甘えん坊で食いしん坊。丸い身体でトテトテ歩くところが可愛い。

ももちゃんは、健診を受けると慢性腎不全だということが分かった。その後、肥満細胞腫も発覚。慢性腎不全は食事と薬でなんとかなったが、肥満細胞腫は手術も考えた。

「不遇な猫生を送って来てやっと安住の地に来たのに、辛い治療を望むのか?と、夫とかなり悩みました。幸い進行はゆっくりだという診断だったので、手術は選択せず、薬で様子を見ながら定期的に観察していくことにしました」

坂田さんの心配をよそに、ももちゃんはいたって元気に過ごしている。

ももちゃんを迎えて、坂田家には笑いと会話が増えたという。

「ももは面白くて、我が家のムードメーカーなんです。何よりアトムがとても元気になりました。ももと一緒に日向ぼっこをしたり追いかけっこをしたり、時にはケンカをすることもありますが、刺激が増えたので活発に動くようになり、話もよくするようになりました」

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