ズボラ過ぎて「そうめんゆでるの面倒」 老舗ブランド揖保乃糸に時短方法を聞いた

金井 かおる 金井 かおる

 「そうめんは好きだけど、大きなお鍋でゆでるのが面倒」ーー暑い季節になると、ズボラな筆者は台所のコンロの前で何度もまわれ右します。電子レンジなどで楽においしくゆでられないものか。手延そうめん「揖保乃糸」で知られる兵庫県手延素麵協同組合(兵庫県たつの市)に話を聞きました。

 担当者が電子レンジで試すと…

 揖保乃糸とは、兵庫県南西部の生産組合員工場約410軒が伝統の手延べ製法で作るそうめんのブランドです。

 同組合の担当者に尋ねると、数年前に電子レンジを使い加熱を試したことがあったそうです。耐熱ボウルに水を入れて加熱した場合と、熱湯を入れて加熱した場合の2通りで比較。結果は?

 「コツが必要なのかもしれませんが、水から加熱した場合はゆで上がりがダマっぽくなりました。熱湯にそうめんを入れ加熱した場合も対流しないため均等にゆで上がりませんでした。揖保乃糸の特長である味やソフトな食感、コシも出ませんでした」(担当者)

組合「そうめんはゆで方が命」

 同組合のサイト内にはそうめんのゆで方の詳しい解説ページがあります。ページを開くと「そうめんはゆで方が命」というキャッチコピーが目に飛び込んできます。

 ゆで方の手順は次の通りです。

(1)大きめの鍋で沸騰したお湯の中にバラバラと入れる。お湯の目安は2束で1リットル。

(2)再び沸騰したらふきこぼれない程度に火加減を調節する。ゆで時間は1分30秒から2分が目安。熱湯、ふきこぼれに注意。

(3)ゆで上がった麺をすばやくザルに移し、水で粗熱を取った後、清水を流しながらよくもみ洗いする。

 「大きなお鍋で、たっぷりと沸騰したお湯の中に麺をパラパラと入れることで、麺は対流し、お湯の中で踊ります。しっかりと均等にむらなくゆで上がります」(担当者)

 水洗いにも大切な役割がありました。

 「揖保乃糸では製造過程で塩と食用植物油を使っています。ゆでるとほとんどの塩や油はお湯に溶け出します。そのままにすると塩辛く、油のぬめりも気になるため、ザルにとって水でしっかり洗うことで小麦の風味を味わっていただけます」(担当者)

 麺の味や食感を最大限に引き出すためには、数分の労力は惜しまない方がよさそうです。

業界初レンジアップ商品やカップ麺も

 揖保乃糸は業界初のレンジアップ式冷やしそうめんやカップ麺、コンビニ商品などさまざまな形で商品化されています。

 揖保乃糸特約販売店である横尾商店(兵庫県たつの市)は2018年、ゆで上げた麺を急速冷凍した冷凍麺「レンジで揖保乃糸 鍋いらずザルいらず」を発売。味は海鮮と五目の2種類。同社ホームページによると、袋のまま電子レンジで約2分加熱し、袋の中に水道から流水を入れ、麺と具を冷やし、袋のまま水切りしたら出来上がりだそうです。手軽に本格的な味を楽しみたい人にはうってつけの商品かもしれません。

 「うまいヌードルニュータッチ」で知られる食品メーカーヤマダイ(茨城県結城郡)は2016年4月、ノンフライカップ麺「手延そうめん」を発売。今年の1月からは全国のセブン-イレブンで「あっさり仕立てのそうめん」「とろろ昆布のそうめん」を販売しています。

 ローソンでは昨年11月から、揖保乃糸を使用した麺商品を商品化し、近畿エリアの店舗で販売しています。新商品は4月27日発売の「揖保乃糸 胡麻盛り温玉そうめん」と5月11日発売の「揖保乃糸 手延べそうめん」。先日からは新商品「揖保乃糸 手延べそうめん」も店頭に並んでいます。ゆでる必要はなく容器のふたを開けてすぐ味わえます。

それでも、電子レンジでゆでたい人も…

 インターネットで「そうめん 電子レンジ」と検索すると、料理レシピサイトや個人ブログなど約1940000件がヒットします。そうめん専用の電子レンジ調理器もいくつかのメーカーから発売されていました。

 いずれも火は使わなくていいものの、加熱には10分近くかかるようで、所要時間だけを比較すると鍋でゆでる方が早そうです。味についてSNS上には「ダマになった」「やっぱり鍋でゆでよう」「電子レンジでもじゅうぶんおいしい」などの感想が投稿されています。

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