指定席特急券 閑散期・繁忙期の「200円引き増し」が消える!? 崩れゆくJRの全国一律の料金システム

新田 浩之 新田 浩之

JRグループが発足してから今年で34年目を迎えます。JRグループ発足以前の国鉄時代は全国一律の料金システムでしたが、JR化後に少しずつ崩れていきました。JRグループが発足した1987年と今では何が異なるのでしょうか。

JR発足当初は全国一律の料金システムだった

それではJRグループ発足間もない1987(昭和62)年5月時刻表を開いてみましょう。当時は東京・名古屋・大阪都市部を除き、幹線・地方交通線の料金システムは全国一律でした。現在は本州3社(JR東日本、東海、西日本)は同じですが、JR北海道、四国、九州ではそれぞれ独自の料金システムを用いています。

特急料金やグリーン車料金も基本的に全国一律システム。ほとんどの特急列車には自由席と指定席があり、グリーン車を連結した列車も多かったです。一方、「グランクラス」や「プレミアムグリーン」のようなグリーン車を上回る座席クラスはありませんでした。

そんな中、バラエティー豊富だったのが寝台列車の乗車に必要な寝台券。2等にあたるB寝台の寝台料金は客車2段式、客車3段式、電車3段式で異なっていました。

いずれにせよ、料金・購入システムは基本的に全国一律で、現在から考えるとシンプルな内容でした。 

次々と自由席が廃止されるJR東日本の特急列車

先述した通り、JRグループが発足して30年以上が経過し、料金・購入システムも大きく変化しました。すべての変更点を書くと紙面が足りないので、JR東日本の特急列車に焦点を当てます。

中央本線の特急「あずさ」や常磐線の特急「ひたち」の欄を見ると、全車指定席を表す「全」という文字が目につきます。近年、JR東日本の特急列車では自由席廃止の動きが加速しています。

「乗車時刻は決められないから特急列車には乗れないのか」という声が聞えてきそうですが、救済策も用意しています。それが「座席未指定席券」です。「座席未指定席券」は列車を指定する必要はなく、空いている席に座れる切符。料金は指定席特急券と同額ですが、車内で購入すると駅での購入よりも260円(大人)高くなります。 

「座席未指定席券」を購入した際は座席上にあるランプに注目します。空席を示す赤色ランプの座席に座りましょう。 

2021年3月のダイヤ改正で東京から伊豆方面へ行く特急「踊り子」や新しく登場した「湘南」でも上記のシステムを取り入れています。他のJRでは採用されていないため、JR東日本の特急列車に乗り慣れていない方は要注意です。

ちなみに、JR東日本のシステムはヨーロッパによく似ています。国もよりますが、ドイツ鉄道やチェコ鉄道などではどの座席に座ってもOK。一方、事前に席の指定もでき、指定席になると座席上に指定済を表すサインが表示されます。 

くせ者「200円引き増し」は会社、特急によってバラバラに

新幹線や特急列車の料金計算で面倒なのが指定席特急券の取扱いです。国鉄時代から指定席特急券の料金は閑散期、通常期、繁忙期で異なります。閑散期は200円引き、繁忙期は200円増しになりますが、問題は閑散期と繁忙期の期間を確かめる必要があること。この確認が意外と面倒で、筆者は何回もこの「200円引き増し」により計算ミスをしてきました。

近年、この「指定席特急券の200円引き増し」が消えつつあります。すでにJR北海道内の在来線とJR九州内の在来線のみの利用では消滅。本州ではJR東日本が「ひたち」「あずさ」「踊り子」など、「200円引き増し」をやめる特急列車を増やしています。しかし、JR東日本管内ですら「200円引き増し」アリ・ナシの特急列車が混在しているのが現状です。

このように同じ会社内であっても、バラバラになりつつあるJRグループの料金、購入システム。JRグループ発足30年以上が経過した今、大きく整理してわかりやすく統一的なシステムを構築してほしい! と思うのは筆者だけでしょうか。

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