ビビビっと来て、ジュルリと食欲をそそって!富山で注目の美術館内レストラン 3つの掛け算で魅力発信

北日本新聞 北日本新聞

 全国の美術館でトレンドになっているのが、素敵な食事を楽しめる場の提供です。アートで心を潤した後は、食事でおなかを満たしてもらい、愉楽のひとときを過ごしてもらいたいとの思いからです。数ある館内レストランの中で今、全国の注目を集めているのが、富山県美術館に今春オープンした「BiBiBi&JURULi(ビビビとジュルリ)」です。話題づくりを狙って有名店の誘致に力を注ぐ公立美術館が多い中、地元富山を前面に打ち出した店づくりが幅広い世代に人気です。

店内の雰囲気、擬音で

 ユニークな店名は「アートで感性を『ビビビ』と刺激し、イートで食欲を『ジュルリ』とそそる」というコンセプトをそのまま冠したのだとか。ちなみに、富山県美術館は屋上庭園があり、その名も「オノマトペの屋上」。擬音語・擬態語を意味する名称の庭園には「ふわふわ」「ぐるぐる」と名付けられた遊具がそろい、子どもたちの歓声が絶えません。「おいしい」「楽しい」。そんなレストランの雰囲気をオノマトペで表現した店名ともいえそうです。

 「アートとイート」を掲げたお店が発信するのはズバリ、富山そのもの。運営に当たる株式会社「富山とイート」の青井茂、奥野智之両代表は「富山県美術館×富山の食材×富山のものづくり」の三つの掛け算で、どこにもない、ここだけの空間を提供し、いつ来ても、誰と来ても楽しいレストランを目指します」と話します。

 食材は、県内の生産者と縁を結び、15市町村全てから旬を調達します。富山市のエゴマや滑川市のホタルイカ、砺波市の雪タマネギなど、いずれも地元では知られた食材ばかり。不ぞろいな野菜も積極的に使い、生産者を応援します。

 盛り付ける器にも富山の技が生きています。例えば、真四角の白い器。一見陶器に見えますが、実はアルミ製。鋳物の町だからこそ作り出せた食器です。

三つの掛け算

 ここまでが「三つの掛け算」のうち、「富山の食材×富山のものづくり」

 これに「富山県美術館」を掛けて完成したのが数々のメニューです。色どり鮮やかなプレート料理やパスタ、カレーは、アートのような見栄えで、「口福」の前に「眼福」で楽しませてくれます。

 イチ推しの「富山の彩り“コンポジション”プレート」は旬の食材をふんだんに使った一品。春の今は豚肩ロースの香草パン粉焼きをメインに、ホタルイカのペペロンチーノ風や昆布を使ったサーモンマリネなど数々の料理がアルミの白い食器に盛られて提供されます。

 名前の「コンポジション」は、「構造」「組み立て」を意味します。その名の通り、自分で自由に組み替えて、「映える」プレートをデザインして楽しもうという趣向です。ロシアの作家、ワシリー・カンディンスキーの作品「コンポジション」に由来しています。

 そうなんです。実は、収蔵品が基になった料理なんです。富山県美術館は前身の富山県立近代美術館時代から、全国に先駆けて近現代アートに着目してきた歴史を持っています。多彩なコレクションは国内外に知られ、パブロ・ピカソやジョアン・ミロ、現代美術の父、マルセル・デュシャン、ポップアートの旗手であるアンディ・ウォーホルやジャスパー・ジョーンズと、20世紀を代表する作家たちの作品がそろいます。アート好きで知られる芥川賞作家、絲山秋子さんも旧近代美術館時代からのファンの一人で、著作「不愉快な本の続編」では、物語の舞台として登場するほどです。

 「3種のトマトソースのパスタ」はウォーホル作品に端を発するメニュー。「複製」をテーマにした絵画「キャンベル・スープI」になぞらえ、味わいのことなる三つのソースの違いを楽しむつけ麺風パスタです。料理は見た目だけではありません。

 デザートの「オノマトペサンデー」は、「オノマトペの屋上」にちなんだメニュー。「ふわふわ」の生クリーム、「サクサク」のメレンゲ、「パリパリ」のチョコレートと、五感をフル動員していろんな味と食感が楽しめます。ただ、おいしいだけでなく、アートを感じ、学べるメニューが充実しています。

 キッズ向けメニューも充実しています。「ビビビとジュルリプレート」は、ハンバーグにエビフライ、目玉焼き、ポテトフライと子どもが大好きなごちそうがそろいます。主食はパンとナポリタンか、カレーライスのどちらかが選べ、ミニデザートにドリンクもついて大満足のプレートです。

 うれしいのは、おまけの塗り絵とシール。希望すればクレヨンも貸してもらえます。料理が出てくるまで、画家気分で楽しんじゃってください。

おすすめニュース

気になるキーワード

新着ニュース