倉庫街で保護された姉妹猫の1匹を我が子に 毎日出迎えてくれるその猫が、運命を切り開いてくれた

渡辺 陽 渡辺 陽

カレー・ラクサちゃん(1歳6カ月・メス)は、大阪市の倉庫街で兄弟と一緒に保護された。行きつけの焼肉店の店長がカレー・ラクサちゃんの姉妹を抱っこしているのを偶然見た田畑さんは、姉妹が残っていると聞いて猫を飼うことにしたが、その子が運命を切り開いてくれたのだった。

倉庫街にいた子猫たち

2019年の10月、大阪市に住む田畑さんが近所の行きつけの焼肉屋に行くと、焼肉屋の店長が子猫の世話をしていた。

店にいた子猫は、後に田畑さんが飼うことになるカレーちゃんの姉妹猫だった。田畑さんは、生後1カ月ほどの猫を初めて見たのだが、あまりに小さく、細い身体、目も開けられないほどひどい猫風邪をひいていたので驚いた。

田畑さんは店長が猫を保護したいきさつを聞いてみた。

「大阪の鶴橋の商店街の倉庫街みたいなところに、子猫が5匹ほどいたそうです。保護した時には、3匹(メス2匹、オス1匹)だけ残っていて、その焼肉屋の従業員が、3匹を保護して動物病院に連れて行ったということでした」

猫との暮らしを実現

焼肉屋の店長は、他にも保護された猫が2匹いると教えてくれた。田畑さんはずっと猫を飼いたいと思っていたので、ぜひうちで引き取りたいと店長に伝えた。2日後、焼肉屋に子猫が来たので、田畑さんは迎えに行った。

「子供の時に魔女の宅急便という映画を見て以来、ずっと猫を飼いたいと思っていました。大人になっても猫を飼いたいと漠然と思うことは何回かありましたが、飼うきっかけがなかったんです。焼肉屋でカレーの姉妹猫を見た時、心の中で『猫を飼う』と決めていました」

カレーちゃんは、ニャーニャー鳴きながら近寄ってきて、まったく人見知りをしなかった。田畑さんは、猫は物静かな動物だと思っていたので意外だった。カレーちゃんも猫風邪をひいていてかなり涙目だったが、姉妹猫より少し身体も大きく、元気いっぱいだったという。

初めて聞く猫のゴロゴロ

カレーちゃんは、家に来た初日からよく食べ、よく遊び、よく寝て、全く手がかからなかった。数日後から田畑さんと同じ部屋で生活しているが、初めて田畑さんの部屋に入ると、喉をゴロゴロ鳴らして、ベットの上でリラックスしていた。

「猫のゴロゴロを聞くのも初めてだってので、これが猫のゴロゴロなんだと感激しました」

なぜカレー・ラクサちゃんと言うのかというと、田畑さんが経営している飲食店の共同経営者が、カレーちゃんを見て、東南アジアの麺料理カレー・ラクサのスープの色に毛色が似ているからカレー・ラクサにすると言い出したからだ。

「名前がカレーってどうかなと思ったし、共同経営者が冗談を言っていると思ったのですが、そのままカレーちゃんに決定しました。でも、少し恥ずかしいので、表向きの名前はラクサちゃんということになっています」

カレーちゃんを迎えてからいいことづくし

性格はとにかく、天真爛漫で人懐っこく甘えん坊。食べるのも、遊ぶのも全力だ。田畑さんが部屋に戻ってくると、ニャーと鳴きながら必ず出迎えてくれるので、一日の疲れが吹っ飛ぶという。

「カレーは生後4カ月ぐらいで避妊手術を受けたのですが、私が帰宅して部屋のドアを開けると、まだふらふらだったのに出迎えてくれたんです。その時は涙がでそうになりました」

田畑さんは仕事が終わると寄り道もせず、すぐに家に戻って猫と過ごすようになった。夜、カレーちゃんと過ごす時間が一番幸せなんだという。しばらく描いてなかった絵もカレーちゃんのおかげで再開できた。

「猫を飼うのが初めてだったので、猫の表情や身体の動きを観察しているうちに、絵のモデルとしての猫にも興味が出てきました。絵を描くことを再開した直後から、カレーの絵を見てくださった方々が絵を買ってくれたり、猫の絵のオーダーに来られたりしました」

カレーちゃんを迎えてから本当にいいことが多いという田畑さん。カレーちゃんに助けられたと思っている。

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