「私ってもしかして『モンペ』!?」…学校への相談、どんな内容ならセーフになのか 専門家3人がアドバイス

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近年よく話題になる「モンスターペアレント」、いわゆる「モンペ」。学校に理不尽な要求を突きつける親のことですが、もしかして自分もモンペに勘違いされたらどうしよう…と心配になることはありませんか? 例えば「お友達にけがをさせられた」ときに、先生に相談をするのは一般的だと思いますが、「わが子が嫌がらせを受けているかも」「お友達とトラブルになっているような気がする」といった確証がない状態で、先生に「様子を見てほしい」と相談したりするのはモンスターペアレントと判断されたりしないでしょうか。

小学校の子どもを持つ保護者が遭遇しがちな学校トラブルと対処法をまとめた書籍「学校トラブル18 保護者のお悩み解決します!」が出版されました。ネットいじめ・ハラスメント専門家のくまゆうこさん、教育学者の小野田正利さん、弁護士の鬼澤秀昌さんが、それぞれの専門分野から回答しています。本の中から抜粋して紹介します。

「要求」であればモンペに思われることはありません ただし伝え方には注意を

小野田:保護者が学校に訴えることは、以下のレベルに分類できます。▽要望:保護者からの訴えに正当性があり、先生を耳を傾けるべき意見▽苦情:学校の守備範囲を超えているが「仕方がない」と聞けるもの▽無理難題要求:関西でいうとイチャモン。当事者にとってなんともならない難しいもの…の3つです。

保護者の方は、自分が言おうとしていることがどのレベルにあたるのか、一度俯瞰してどういう伝え方をしたらいいかを考えれば、モンスターペアレントと思われる心配はしなくていいと思います。

たとえば「無理難題要求」の例として「担任の顔が怖いから(ほかの先生に)変えてくれ」というものがあります。親からすればわが子の担任の性格や行動が気になることは当然あります。しかし、先生が厳しすぎたり威圧的に子どもたちに接していると感じた場合には「申し訳ないですが、うちの子が怖いと言っているので、なるべく優しい声掛けなどしてもらえるでしょうか?」などのお願いから始めるべきでしょう。

鬼澤:学校への伝え方を考えるにあたり意識するべきことは、保護者と、何十人何百人を管理している先生とでは、同じ事象でも見え方が違う場合が多いということです。それをふまえて、以下を意識して伝えればよいと思います。

(1)保護者の認識している事実を明確にする
(2)それに対する要望を明確にする
(3)学校に対して無理やりやらせるのでなく、提案のかたちにする

事実を聞くことが第一で、そこから改善してほしいことを整理してまとめてみる。「こうしてください」と突きつけるのではなく、「こういうことはできませんか」と提案するのがよいでしょう。

小野田:学校側として「困る保護者」とは、要求の中身もありますが「行動」の内容にも大きく左右されます。1回の電話で3〜4時間、頻度も毎日連絡してくるとか。また、教育委員会や議員、マスコミ、警察などにも同時に相談するといったように、「ありとあらゆる手段を使って要求する」ような行動をとると、学校側は疲弊していきます。まずは「相手の状況をおもんばかりながら聞いていく」ことを忘れないようにしてください。

明らかに対応が悪いと感じていても「毎日問いただすのではなく、時間を置いたり、ひとまず相談の時間を切ったりする」とよいでしょう、学校側も事実関係の調査には2、3日かかることがあります。また時間の経過とともに子どもの気持ちも変わりますから、適宜子どもが何を考えているか向き合うことが大切です。

くまモンスターペアレントの言葉に関連してアメリカでは、「子どもから見て親が、モンスターに見える」というのが語源であるということは忘れたくない視点です。子どもからすれば解決済だったり、大事にしてほしくない状況のとき、親が何か学校にガンガン言おうとしている姿は、きっとモンスターに見えると思います。子どもから見てどう見えているのか、という意識が必要だなと思います。

鬼澤:内容次第ではありますが一番はやはり、子どもと話して「お母さん/お父さん、これ学校の先生に言っていいかなぁ」と聞くことですね。

   ◇   ◇

▽くまゆうこ(ネットいじめ、ハラスメント専門家/株式会社マモル代表)…テクノロジーでいじめやハラスメントを早期発見し、いじめで悩む人が少なくなる社会を目指す。
▽小野田正利(教育学者/大阪大学名誉教授)…専門は教育制度学・学校経営学。学校と教職員の “等身大の姿”を明らかにすることをライフワークとしている。
▽鬼澤秀昌(弁護士/おにざわ法律事務所代表)…自治体のスクールロイヤーや学校法人の顧問、教員向けの研修講師、文部科学省スクールロイヤー配置アドバイザー。

「学校トラブル18 保護者のお悩み解決します!」は東洋館出版社刊。1100円(税込)。ほかにも「入学準備・備品準備」「担任の先生と子ども」「子どもの友人関係・けが・登下校」「PTA」「子どもの発達支援」にまつわる幅広いテーマを取り上げています。

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