「学校至上主義」が親子を追い詰める...全ての子どもに多様な学びの選択肢を

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 学校に行っていない子どもたちが増えています。文部科学省の調べによると、最新の2019年度調査では、小中学校を30日以上欠席した児童・生徒は18万人を超え、過去最多を更新しました。不登校の子どもたちの学びについて、早稲田大名誉教授(学校教育・子ども支援学)で子どもの権利条約ネットワーク代表の喜多明人さんに聞きました。

―不登校の子どもたちの学びの現状について教えてください。

全国で18万人にものぼる不登校の小中学生のうち、フリースクールなどで学んでいる子どもは2パーセントの4000人と言われています。「学校へ行かない」と選択した子どもたちが、学校以外で学びたいと思った時、その選択肢がない、またあったとしても公的な学校ではないため経済的な負担が伴うというのが現状です。

海外ではフリースクール、ホームスクールで学ぶ子も

―海外では、フリースクールなど、学校以外の選択肢が多いと聞きます。

学校以外の学びには、家庭で学ぶ「ホームスクール」や、独自の教育内容を持つフリースクールなど「オルタナティブスクール」があります。海外では、これらが公教育のなかに組み込まれており、学校以外で学ぶ子どもは少なくありません。韓国や台湾では、激しい受験競争から自分を見失いがちな生徒をサポートするオルタナティブスクールが相次いで開設され、行政の支援も受けて、子どもの学びを支えています。

―なぜ日本は、学校以外の選択肢が少ないのでしょうか。

国の方針が大きく影響しています。憲法26条では「すべての国民は教育を受ける権利を有する」「すべての国民は、保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負う。義務教育は無償とする」とあります。「普通教育」とは人間として生きていく上で欠かせない教育の総称です。しかし国は長年、学校で行う普通教育しか保障してきませんでした。それが社会の「学校至上主義」となり、人々の「学校へ行ってこそ幸せになれる」という意識につながりました。

教員たちの不登校への対応も、子どもたちが学校に復帰することを目指して行われてきました。しかしいじめや暴力を受け不登校になった子どももいます。その子たちにとって、無理やり戻された学校は地獄です。また不登校の子ども、そして親も「学校に行かないから、将来は真っ暗」と悲観し、自ら命を絶つケースもありました。

学校以外の学びを認める法律が施行

―国の方針が変わりつつあると聞きました。

2017年2月に、学校以外の多様な学びを公的に認める「普通教育機会確保法」が施行されました。この中で、国や自治体は、学校以外の多様な学習活動の重要性を鑑み、不登校の児童生徒の休養の必要性を認め、個人の状況に応じて支援する方針を掲げています。

2019年10月には、学校復帰を前提とした不登校対応を是正し、社会的に自立することを目指して支援するよう、文科省は全国の教育委員会に通知を出しました。

制度は1日で変えられても 意識を変えるには10年

ー社会は変わりつつあるのでしょうか。

まだまだです。私は、制度は1日で変えられても、制度を支える人の意識を変えるには10年かかると考えています。

私はもともと学校教育を研究し、子どもの権利に依拠した子ども参加の学校づくりを追究し、フリースクールなどのオルタナティブスクールにたどり着きました。子どもはそもそも知識欲と、さまざまなものへの興味を持っています。固定されたカリキュラムの中で力を発揮できない子どもも、自分の学びたいことを自分のペースで学ぶことができるフリースクールのような場では、本人が持つ最大限の力を出しています。

子どもの権利の視点で考えた時、「学びの場を選択したい」と思うのは当然のことです。これからは不登校の子どもたちの受け皿ではなく、すべての子どもたちが自分にあった学びの場を見つけるために、多様な学びの場が必要だと考えています。

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