母猫に育児放棄され保護された生後間もない子猫、2匹目を探していた愛猫家のもとへ、病床の父の支えにも

渡辺 陽 渡辺 陽

カールくん(3歳・オス)は、母猫に育児放棄された。まだ目が開くか開かないかくらいの子猫だった。石川県に住む川端さんは、2匹目の猫を探していたがなかなか巡り合えず、しかし、折よくカールくんを飼わないかと誘われた。

 

母猫が育児放棄

2017年9月18日、石川県のとある場所で、母猫に育児放棄されて弱っていく2匹の子猫がいた。見るにみかねた人が保護して、猫雑貨を販売しているカフェに一時的に預けられた。店のオーナーは川端さんの知り合いだった。

川端さんはキジッチくんという猫を飼っていたが、もう1匹欲しいと思っていた。ちょうどその時、「子猫を保護したけど、どう?」とオーナーから連絡をもらい、すぐに見に行った。

女の子と男の子だった。女の子はすでに里親が決まっており、残っている男の子を川端さんが引き取ることになった。

生まれて間もない子猫

川端さんは、以前は兄弟猫2匹を飼っていたので、1匹より2匹のほうがしっくりくると思っていた。ずっと2匹目を探していたがなかなか縁がなく、やっと出会うことができた。

子猫は、まだ生後20日くらいで目が開いて間もないくらい。体重は350gしかなかった。「こんなに小さい子猫を育てたのは20年以上前で、世話が出来るか不安でした。ミャーミャー鳴く子猫の声がとても新鮮でした」

迎えたその日にすぐ動物病院に行き、蚤取りをしてもらい、ミルクと離乳食の移り変わりの時期だと知った。ミルクも用意したが、結局すぐ離乳食に変わった。3時間おきにごはんをあげた。排尿の手伝いをしようとお尻をトントンしても排泄しなかったが、ケージに用意した小さなトイレでオシッコをした。

「あんなに小さな体で自然に自分からオシッコをしたのに感動しました。弱っていた身体は日に日にたくましくなっていきました」

子猫の時、耳が少し内側にカールしていたので、「カール」と名付けた。

先住猫キジッチくんに守られて

カールくんはものすごい甘えん坊で、よく何かウニャウニャ言っている。人が大好きで、誰かが来ると、「いらっしゃーい」と言わんばかりにおもてなしをする。

臆病なところは、もしかしたら先住猫のキジッチ譲りかもしれない。地震や雷、窓から見える知らない野良猫が怖くて、ベッドの下に隠れて出てこなくなることもある。

カールくんが、地震が怖くて怯えていると、キジッチくんが様子を見に行って顔を舐めてくれる。川端さんが泊まりで不在にすると、カールくんは淋しさから嘔吐することがあるが、キジッチくんに「カールをよろしくね」と一声かけて出かけると、キジッチくんが留守中にカールくんを常に見ていてくれる。

昨年、川端さんのお父さんは長期入院をしていた。

「父の病床のベッドの横に2匹が映った写真の引き伸ばしたものを貼っていました。その効果もあったのか分かりませんが、父は瀕死の状態から奇跡的に回復し、退院して、家でのんびり過ごしています。きっと、父にとってもキジッチとカールは必要なんだと思っています」

猫愛が尽きない川端さんは、愛玩動物飼養管理士など、猫関係の資格をいくつか取得し、猫のためにキャットライフマネジメントなど新しい取り組みをしようと思っている。

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