初めての預かりボランティア…やってきたのは超臆病な猫 きょうも人間の手が届かないところで、かくれんぼ

渡辺 陽 渡辺 陽

繁殖して増えていく猫にエサを与え続ける人がいた。ボランティアが猫に気づいて少しずつTNRしたが、捕獲機に茶トラの猫が入っていた。とても臆病で、リリースしても生きて行けそうにない。ボランティアは猫の里親を探すことにした。しかし、譲渡会に出しても臆病な成猫は希望者が現れなかった。

超ビビリの茶トラ猫

2018年3月、愛知県名古屋市のホームセンター付近で、猫の保護活動をしている人がよく猫を見かけるようになった。不審に思って猫がどこから来るのか探してみると、ある家の敷地内でごはんをもらって繁殖しているようだった。

保護主は、TNRの啓発や捕獲機設置協力を要請する手紙を何度もポスティングしたが、反応はなく、エサやりは続けられた。数匹のTNRが完了した頃、小柄な茶トラ猫が捕獲機に入った。初めはオスかと思ったが、妊娠していることが判明。堕胎手術後、しばらくケージで様子をみることにした。

猫はとても臆病で、寝床箱に入ったまま出てこなかった。ごはんはきれいに食べていたが、人に見られていると一切食べず、トイレもしなかった。あまりにもビビリなので、外にはリリースできないと思い、里親を探すことになったという。

初めての預かりボランティア

譲渡サイトの「ぺっとのおうち」にデビューし、譲渡会にも2回程連れていかれたが、超引っ込み思案のビビリだったので、誰の目にも止まらず、引きこもり生活を続けていた。保護主は、「このままずっと保護猫かな?」と思っていた。いつも見張っているような感じでじっと見つめてきたので、名前はみはりちゃんにした。

その頃、愛知県に住む鵜飼さんは猫の保護活動を始めようと思っていたところ、預かりボランティアの話をもらって、引きこもり猫みはりちゃんを預かることになった。保護主が愛情をもって「みは~」と呼んでいるのを聞いて、この名前以外は考えられないと思い、同じ名前を引き継ぐことにした。

2020年11月、保護主がみはりちゃんを連れてきてくれた。最初、みはりちゃんは、ごはんも食べず、トイレもせず、ほとんど動くことなくケージに立てこもっていた。

夫の洋服は好きだが、なでられるのは拒否

みはりちゃんは、だんだんごはんを食べるようになったが、まだ完全には心を開いていない。先住猫の凛ちゃんとみはりちゃんは、同じ保護主のところにいたので顔見知り。一緒に寝るような仲だったので、いつしか2匹一緒に隠れるようになった。

みはりちゃんは、夜中に一度だけ玄関で鳴いていたことがある。とても寂しそうな声で、「お母さん、お母さん」と保護主を探しているようだった。

「保護主さんとみはりの親子のような繋がりを感じ、引き継いだ私たちが大切にしなければと思いました」

みはりちゃんは鵜飼さんの夫の服が置いてあると、その上にちょこんと座る。洋服が掛けてあるとスリスリする。においが気に入っているのか理由は分からない。ただ、強力なビビリのみはりちゃん。夫もまだなでることはできないのだという。

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