夜が時短なら「気合の朝ラーメン」だ!…営業初日の来店客はゼロ、それでも「朝ラー」にかける店主の思い

北村 泰介 北村 泰介

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、関西3府県にも緊急事態宣言が再発令された。14日から2月7日まで、他の対象地域と同様、飲食店には午後8時までの時短営業が要請される。そうした背景から、夜営業をやめる代わりに、朝営業に切り替える店の動きが広がっている。その一例として「朝の分割営業」を始めた神戸市のラーメン店主に話を聞いた。

 神戸市兵庫区で「気合いのラーメン つぼ」を営む元プロボクサーで現役プロ格闘家の坪井将誉(まさたか)さん(48)は、14日から「気合の朝ラーメン」と題して午前7時から同9時までのモーニング営業を始めた。

 同店はカウンター10席。これまで昼営業(午前11時-午後2時30分)と夜営業(午後5時-深夜3時30分)の2部制だったが、夜間の時短営業を受けて3部制に。昼は母と、夜は従業員との2人で対応しているが、朝は坪井さん1人で切り盛りすることにした。

 ランチタイムと同様、朝もセット料金を割引。例えば「ラーメン、ライス、キムチ」のセット840円を750円に、「ラーメン、チャーシュー丼、キムチ」のセット1120円を880円に値下げしたモーニング料金となる。

 坪井さんはツイッター(@tsubo1234)で「コロナがなくなる事を祈ります。 朝もやります! 分散でコロナ感染拡大防止を考えてます」と告知。この「分散」について「ランチタイムでは短時間にお客さんが集中して満席になることが多い。朝と昼に分散することで『密』を避けることができれば」と説明する。

 朝営業初日の14日、前夜遅くまで仕込みをした上で、朝5時半に起きて出勤したが、朝の来店客はゼロに終わった。

 坪井さんは「でも、いいんです。頑張ってる姿を近隣の人に見ていただいて、そのうち『行ったろか』と思ってくれるようになればいい。そういう気持ちで、うちは14年間やってきましたから。お客さんがゼロから、1人、2人になっていけばいいなと思ってます。朝から頑張ってるところを見て欲しい」と前を向く。

 コロナ禍で社会は朝型に移行している。ラーメンは「飲んだ後の締め」として深夜の需要が多いイメージもあるが、生活サイクルの変化に加え、健康面への意識の高まりで深夜ラーメンを控え、それでも食べたい時は「朝ラー」でという動きも期待される。ラーメン店に限らず、朝営業を導入した飲食店の動きは全国各地で報じられている。

 緊急事態宣言は2月7日に解除方針だが、その時までに感染者数が抑制されている保証はなく、短縮か延期も含めて流動的。いずれにしても「解除」後の展開について、坪井さんは「売り上げの状況を見て考えます。厳しければ、解除後に朝はやめるかもしれませんし、好評なら続けていくかもしれない」と模索する。

 昨年4月、最初の緊急事態宣言が発令された時期、坪井さんは自宅から鍋を持参した客に注文分のラーメンを入れるテイクアウトで対応した。「鍋ラー」から「朝ラー」へ。終わらないコロナ禍で、個人店主の試みは続く。

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