各地を疾走!SL「無限列車」…実物の機関車が鬼滅の刃とコラボ、おすすめは京都鉄道博物館の8620形8630

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今、ひとつの作品がアニメ業界や映画業界に波乱を巻き起こしています。私の愛読書、週刊少年ジャンプで連載が始まり、アニメから急激に人気が沸騰し、遂に映画にまでなった『鬼滅の刃』です。その映画『鬼滅の刃〜無限列車編〜』は、何と日本の歴代最高興行収入第一位まで上り詰めても、今もなお勢いは止まっていません。そして、鉄道業界までもが、それに便乗して?…映画に出てきた無限列車に模した"実物の蒸気機関車"を走らすことになりました。

蒸気機関車だなんて、まだそんなものがこの令和の時代に?…と疑問を持った人がいるかも知れませんが、JR各社や第三セクター、大手の私鉄等で、全国に15両以上の蒸気機関車が動態保存されており、今もなおイベント列車などで活躍しています。そのうち無限列車にあやかり人気を集めたものもあったようです。

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GoToキャンペーンやGoToイートで世間が湧きたっていた2020年11月・12月限定で運行されたのは、JR九州の『鬼滅の刃』の"無限列車"。走ったのは、映画のSLとウリ二つで、大正生まれの蒸気機関車・8620形の"58654号機"。"58654"のプレートを"無限"に付け変え…まさに作品のイメージそのままのようです。

このSL、本来なら熊本から八代を経由して肥薩線に入り、球磨川沿いを縫うように走って人吉までを往復する『SL人吉号』として運行されているはずでした。しかし、7月の豪雨で球磨川が氾濫して線路や鉄橋が流され、現在も肥薩線は不通です。そのため、特別列車としてダイヤが過密で普段通ることがない鹿児島本線の熊本から博多までを走りました。

私は、鉄道写真のほかに漫画やアニメが大好きで、中でも『鬼滅の刃』は連載当初から欠かさず読んでいる愛着のある漫画。アニメも見ていたので、居ても立っても居られず11月、撮影へ出撃しました。

沿線は撮り鉄というよりも、家族連れがほとんどで、市松模様のマスクをつけた男の子や、好きなキャラクターのキーホルダーを付けた女の子が"無限号"に手を振りながら見送っています。私は熊本のソウルフード「お弁当のヒライ」の「ちくわサラダ」を縦にかぶりつきながら列車を撮影しました。横にかぶりついたら、まるで禰豆子ちゃんのようだったかもしれません。実際にSLが走る姿や音は、人の走る息づかいとよく似ていて、生きているような感動を覚えます。

群馬県の高崎から横川までは『SLぐんま号×鬼滅の刃』も走ったそうですよ。

そして、今オススメは京都鉄道博物館の"無限列車"です。3月14日まで8620形8630が"無限"のプレートに付けかえて、館内を1キロほど往復。JR九州の58654と同型ですが、デフ(機関車のボイラー前頭部や煙突を挟むように設置されている除煙板)がないので無限列車にはこの8630が一番似ています。

コロナが収束したら、是非ご家族でお出掛けください。

◆桂小梅(かつら・こうめ) 1992年大阪府大阪市に誕生、桂梅団治の長男。2011年4月、桂梅団治に入門。幼いころから父親から落語の手ほどきを受け、小学生のころの好きな有名人は「三代目桂春団治」。鉄道写真愛好家の一面も持つ師匠梅団治の影響からか、落語と同じく幼いころから鉄道写真に興味を持つ。真摯で丁寧な高座は好感度が高く、これからが期待される若手。

▽桂小梅さんのエッセイはこちらでもお読みいただけます
「寄席つむぎ」https://yosetumugi.com/author/koume/

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