岸和田市にある登録有形文化財の建物内に、レンタル+ケアができるダンサー支援のスタジオが誕生

八木 純子 八木 純子

 コンテンポラリーの舞台を中心にダンサー・振付家として活躍中の寺倉礼那さんはダンサーの育成、体のメンテナンスなども行う、これまでにないサービスと施設を兼ね備えた「FDL」を昨年12月18日にスタートさせました。その拠点がなんと岸和田市にある国の登録有形文化財C.T.L BANK(旧・和泉銀行本店)でした。

岸和田の有形文化財が若者の表現する場に変身!

 南海本線「岸和田駅」から歩いて約10分。C.T.L.BANKのレトロな建物が目を引きます。もともとは1933(昭和8)年に建造された旧和泉銀行本店で、現在は国の登録有形文化財に指定されている歴史ある建物です。

 「FDL」はその建物を使用。1階のホール・体育館が貸しスタジオに、2階の会議室がトレーニング・メンテナンスルームに生まれ変わりました。こんな素敵な空間で踊れ、メンテが受けられると思うと、テンションアップすることは間違いありません。

ダンサーとしての体験がFDLを作るきっかけに

 出迎えてくれたのは今回の「FDL」の発案者で、ゼネラル・マネージャーとなった寺倉礼那さん。3歳から松岡伶子バレエ団でバレエを始め、大阪芸術大学舞台芸術学科舞踊コース卒業。2016年にはミス・ユニバースジャパン広島ファイナリストの経歴もあります。New York・Melbourneに留学し、本場でダンスを習い、大阪芸術大学大学院芸術研究科博士課程前期芸術制作専攻(舞台)卒業という肩書もあります。

 ニューヨークではバレエダンサーが考案したといわれるバレエをベースにヨガとフィットネス、調整(Tone)を融合させたエクササイズであるBalletone Sole Syntesisの資格も取得しています。現在は、コンテンポラリーの舞台を中心にダンサー・振付家としても活躍中ですが、この経験が今回の立ち上げにつながったようです。

 「私自身、ひどいケガに見舞われ、一時はダンサー生命の危機に見舞われたことがあります。その時の体験もあり、今回、立ち上げたFDLではメンテ面からもダンサー支援を充実させたいと思いました」

 ちなみに、FDLは「For Dancer’s Life(ダンサーのために)」の略。ダンサー支援では①身体のメンテナンス②踊る”場所”の提供③踊り以外での才能開花もメインに展開していく考えです。

 「踊りだけでは生きていけない日本で、踊り以外の能力も開花させてあげたいし、やりたいことができる組織にしたいとも思いました」と、寺倉さんは話します。

 そのため、今回、FDLを立ち上げるに際し、ダンサー仲間だけでなく、整骨院の先生やスポーツフードアドバイザー、理学療法士、さまざまなジャンルのセラピストたちなど、多くの専門家も参加してくれています。

誰もが参加できるFDLでありたい!

 ダンス業界の現状は、ダンサーを目指す人の多くが踊りをしながら、アルバイトしているのがほとんどとか。メンテナンスや治療費、レッスン、舞台、チケットなどの費用がかさむのが現実のようです。

 「私はどんなジャンルのダンサーにも夢はあきらめないで持ち続けてほしい。また、ダンサーという職業でなくてもその関連の仕事には就いてほしいと思っています。そのためにも、FDLの役割は重要と考えています」

 たとえば、舞台をプロデュースしたい。イベントの企画をしたい。踊りに少しでも関わった仕事がしたい。ワークショップを開きたい。広いスタジオでリハーサルを行いたい。ケガをした時にすぐに診てもらいたい。信頼できる人にメンテナンスしてほしい。フリーダンサーをマネージメントしてほしい…。

 「そんなダンサーたちの望みを叶えられる場所がFDLでありたいのです。多くのダンサーのみなさんにぜひ、ここを利用してほしいです」と、熱く語ってくれた寺倉さん。

 気になる料金ですが、会員制を導入していて、入会金は1000円(税込)。プレミアムメンバーの年会費は1万円(税込)と、入りやすい価格設定も魅力のようです。

 コロナ時代のいま、FDLが若手ダンサーの新たな拠点になるかもしれないと、期待する声が多いのも頷けました。

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