ガリガリにやせ細っても4匹の子猫たちを守っていた母猫、親子で保護され、12匹一緒に暮らす

渡辺 陽 渡辺 陽

駐車場で暮らしていた親子猫。たまにえさをもらっていたようだが、母猫はガリガリにやせていた。猫好きで、7匹の猫を保護して飼っていた村上さんが近寄ると、母猫は「この子たちにごはんをください」とまっすぐに目を見つめてきた。

 

「この子たちにごはんをください」

2015年6月25日、埼玉県に住む村上さんは、離れたところで道路を横切るものが目に入った。近づいてみると、そこには数匹の子猫とガリガリにやせた母猫がいた。

母猫は、まっすぐ村上さんを見つめて、まるで「この子たちにごはんをください」と言うように「ニャー」と鳴いた。村上さんは、近くの店でキャットフードを買い、猫に与えた。みんなあっという間に食べきり、やっと落ち着いた様子だったという。

「おうちはないの?」、「ちゃんとごはん食べられているの?」と話しかけると、通りがかりの人が、「この子たちをよく見かける」と話しかけてきた。話を聞くと、最近このあたりで見かけるが、決まったえさやりさんはおらず、駐車場利用者やスーパーのお客さんなどが時々ごはんを与えているということだった。

家に来る?

親子猫がいたところは車を20台くらい停められる駐車場。駐輪場もあり、猫が隠れるにはいい場所だった。身の危険を感じた時、車の下や自転車の陰に隠れたら、人の手は届かない。人通りもあり、ごはんをくれそうな人にねだることもできる。

「母猫は、いい場所を選んで子育てしたと思います。しかし、外での生活が過酷であることは、その姿からはっきり見て取れました」

村上さんが保護しようと思い、「家に来る?」と尋ねると、まっすぐに見つめてきたという。はっきりとした意思を持つまっすぐな瞳の母猫。自分はお腹いっぱい食べられなくても、子猫たちを守ってきたのだろう。子猫たちは元気いっぱい、そこらに生えている雑草が揺れるのを面白がってじゃれたり、子猫同士走り回ったりして、楽しそうに遊んでいた。

「母猫から離れすぎると元の場所に戻って甘え、親子の深い愛を感じました」

お腹を空かせた母猫、キャリーに一番乗り

村上さんはキャリーを用意して現場に戻り、親子猫を捕獲した。意外にもキャリーに最初に入ったのは母猫だった。子猫たちは、お腹いっぱいになってしまったので、おいしい匂いでおびき寄せてもキャリーに入らなかった。おもちゃやおやつで釣ってみたり、母猫が入ったキャリーで釣ったり、全頭捕獲するまで数時間かかったという。

家に着いてからも、母猫はとまどいながらも比較的友好的な感じだったが、子猫たちは敵対心いっぱい。シャーシャーと威嚇した。村上さんは、仕方なく、親子別々のケージに入れて様子をみることにした。

しかし、たくさんの猫を保護してきた村上さんの経験をもってしても、子猫たちはなかなか人慣れしなかった。一番手ごわかった男の子は5歳になり、やっと母猫が近くにいなくてもなでられるようになった。

岩下志麻のような力強い眼差しだからしまちゃん

母猫の名前はしまちゃんにした。大女優、岩下志麻に似た、意志の強さを感じさせる目をしていたからだ。子猫たちは、短毛キジトラの女の子をれいちゃん、長毛サビ猫の女の子をらんちゃん、短毛黒白ハチワレの女の子をばくちゃん、長毛黒猫の男の子をぺぺくんと名付けた。

子猫たちが小さい頃、他の猫が近づくと、母猫しまちゃんは守りに入る姿を崩さなかった。子離れするまで最前線で子猫たちを守っていた。子離れすると、甘えん坊になり、人に対してとてもフレンドリーに。母猫の血を受け継いだのか、ばくちゃんは一番フレンドリーな性格になった。

既に7匹の猫と暮らしていた村上さん。しま親子を迎えると12匹の大所帯になった。しかし、親子の絆を目の当たりにして、とても引き離すことはできなかった。村上さんは、自分で保護した猫は、自分で幸せにすると誓っているので、迷いなく一緒に暮らすことにしたという。

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