大阪・北新地の名門割烹店 絶対味覚を持つ店主がシメを”焼肉定食”にして大人気に

八木 純子 八木 純子

 大阪・キタを代表する高級歓楽街、北新地の一角にある名門割烹「松庵(しょうあん)」(大阪市北区堂島1-1-20)は洒落た外観に、掘りごたつのある個室など趣きのある店内。迎えてくれるのは、腕利きの料理人たち。そして、人気のコースは本格的な日本料理が続くが、シメがなんと「焼肉定食」。最後まで舌を楽しませてくれる名門の味な計らいを体験してみました。

コースはただ一つ「お任せ」のみ!

 大阪・北新地といえば老舗や名門のお店が多く、敷居が高い感じがします。中でも、割烹の名門とくれば、予算が気になるところ。しかし、この「松庵」はそうでもないようです。「料理のこだわりはすごいのに、意外にリーズナブルで女性同士でも訪れやすいですね」とは、淀屋橋にオフィスがある利用客のOLさんの話です。

 「松庵」は北新地の堂島上通の東側にあり、建物の1階からして洒落た雰囲気が漂っています。1階の玄関を通り、2階へ。店内に入ると、検温とアルコールでの手洗い。当然ですが、コロナ感染防止にも力を入れているお店です。レイアウトは掘りごたつの座敷をはじめ完全個室のテーブル席などもあり、カウンター席の前では、腕を振るう料理人たちの姿がありました。

 ここでは一品やコース料理が楽しめるのですが、コースは「お任せ料理」(6,800円、税・サービス別)だけ。四季折々の味が楽しめる同コースがOLさんやビジネスマンにも人気が高いといいます。今の季節、予約をすれば松葉ガニやフグなど大鍋料理も楽しめます。

旬の味覚や絶品ダシが楽しめる「お任せコース」

 「お任せコース」は前菜5種が出てきます。季節によっては活けのセコガ二が前菜に加わったりもします。その後にお造り盛り合わせに、お寿司が2つ。焼き魚が出された後、取材に訪れた日は金目鯛の小鍋と続きました。

 小鍋といえども炭火にこだわり、黄金色に輝くのは一番ダシ。このダシが超美味です。「うちでは血合いのないマグロ節と昆布を使ってダシを取ります。ちょっとでも濁りが入ったら廃棄処分にするぐらいダシにはこだわっています」と「松庵」オーナーの松井利浩さん。実は松井さんは、飲食店の経営37年のベテランで、かつ、絶対音感のように「絶対味覚(舌)」の持ち主と評判。そのため、店の味をチェックするのは松井さんの担当だとか。

 ここでは、ダシを一口楽しんでから、具材を入れて鍋を味わうのが松庵流のよう。鍋の後は天ぷらと続き、シメのご飯が驚きでした。

シメを焼肉に変えたら、お客様の反応も上々に!

 日本料理のシメは通常、白いご飯か季節の炊き込みご飯が定番ですが、松庵ではなんと、焼肉が出てきます。和牛のカルビが3枚に、白いご飯。シジミの味噌汁、漬物とくれば、まるで焼肉定食です。焼肉店で食べているような錯覚にも陥る焼肉の美味しさにビックリ。それもそのはずで、姉妹店には「焼肉虎龍浪漫亭」があると聞いて納得しました。

 当初は松庵でも季節の炊き込みご飯を出していたというのですが「インパクトも弱いですし、若いお客様にも割烹を利用してもらいたいという思いもあり、シメを焼肉にしたら、老若男女問わず評判になりました。デザートは女性にも喜んでいただけるように毎回、工夫しています」。

 また日本料理を見た目でも楽しんでほしいと、器は信楽焼の7人の作家さんにお願いして製作しているとか。日曜は定休日だが、土曜と祝日は店を開けているといいます。

 「ファミリーでも日本料理を気軽に楽しんでほしいから、ビジネスマンが家族と来店しやすい土曜日や祝日は営業することにしたのです」。新しい年の幕開けは、少し奮発して日本料理を楽しむのもいいですね。

おすすめニュース

気になるキーワード

新着ニュース