「半育休」やるなら気を付けることは? 注目の働き方のポイントを専門家に聞いてみた

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育児と仕事が両立できる環境の向上が求められる中、既存の仕組みを活用した「半育休」が、出産を控える家族の注目を集めています。実際に始めるとなるとどんなことに気をつければいいのでしょうか。久保事務所(東京都千代田区)代表の社会保険労務士、久保英信さんに「半育休」が注目を集める背景や、実際の導入での注意点を聞きました。(聞き手・子育て支援サイト「コノコト」編集室)

きっかけは14年の制度改正

―出産を控えたママやその家族から「半育休」という言葉が聞かれるようになってきました。割と最近までこんな言葉はなかったと思いますが、何がきっかけでしょうか。

久保:2014年の育児休業給付金制度の改正が大きかったのだと思います。これまでは支給単位期間(1カ月間)ごとに10日以内の就労であれば給付金が支給されていました。これが、10日を超えても総労働時間が80時間以内であれば支給されるようになったんです。これを契機に「月80時間までなら働いてもよい」との理解が広がったんではないでしょうか。

―改正で、「半育休」という制度ができたわけではないのですか。

久保:一部誤解があると思われるところなんですが、それは後で説明します。まず、「半育休」については、少し難しい話になりますが、雇用保険法の「育児休業給付金制度」と育児介護休業法の「育児休業制度」に分けて考える必要があります。

本来の目的は母体保護

―それでは、2つの制度について説明をお願いします。

久保:雇用保険法に定められた育児休業給付金制度では、育児休業を取得した者に対してのみ給付金を支給するんです。一方、育児介護休業法で育児休業制度とは、子どもが原則として1歳になるまでの間の任意の期間中に育児を理由として休業する制度です。その期間中はすべての出勤日について労働義務が免除されるんです。つまり、育児休業期間中は、勤め先から就労を求められることはないんですね。

―無理な就労を強いられないという点ではママの体を守る、つまり「母体保護」につながるんですね。

久保:「半育休」はそんな育児期間中にあえて働くというスタイルです。育児休業給付金制度で臨時的・一時的に就労した場合でも給付金を支給できるケースを活用したものです。それだけに部分的にであっても就労するには、そのつど労使双方の合意を得る必要があります。厚生労働省は「あくまでも臨時的・一時的な就労に限る」という解釈を示しています。

―普段通りに働いてしまうと、ママの体を守るという制度の根っこの部分が崩れてしまうんですね。

久保:恒常的・定期的に就労すると、育児介護休業法の育児休業をしていることにはならず、育児休業そのものが形骸化してしまうという懸念があるために、現在のような解釈に至ったのではないかと私自身は考えています。

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