「母の生まれ変わりかも」3匹の子猫を保護、1年後には2匹を保護し…みんな女の子でニャンコ女学園みたい

渡辺 陽 渡辺 陽

大阪府に住む山田さんは、3匹の愛猫を立て続けに亡くして、残る1匹の猫と暮らしていた。もう新しい猫は飼わないと固く心に誓っていたが、子猫がカラスに襲われかけているのを発見。愛猫家なので放っておけず、その場で保護した。1匹だけだと思っていたら、子猫は全部で3匹いた。

カラスに狙われていた子猫

2018年6月7日 雲一つない晴天の日だった。大阪府に住む山田さんは、お母さんを亡くして20日が経ち、いろんな疲れが出てきて背中が痛くなり、整骨院に行った。帰りにパン屋に行くかどうか迷いながら、いつもと違う近道を歩いていると、「ふみゃあ~」という子猫の鳴き声と同時にカラスの鳴き声が聞こえてきた。急いで駆けつけると、空き地のフェンスに2羽のカラス、下の草むらに何やらモゾモゾと動く物があった。

「大変!子猫が狙われている!」

背中の痛みはあったが、山田さんは地面にはいつくばってフェンスの隙間から手を伸ばして子猫を引っ張り出して保護した。

「かわいい靴下ニャンコだ!」と思い、手のひらに乗せて、背中の痛みを我慢しながら速足で帰宅し、動物病院に向かった。

大急ぎでかかりつけの動物病院で診てもらうと、子猫は体重約210グラム、生後2週間くらいの三毛猫だった。待合室で待っていると、診察待ちの方から「かわいい三毛猫やね。一匹だけ?他に兄弟おれへんかったん?」と言われて、山田さんはドキッっとした。再び拾った場所に戻り、フェンスを上って空き地に入り、周囲を探すと少し離れた草むらに2匹の子猫がいた。周りを見渡しても親猫の姿はなかった。急いでまた動物病院に戻ると、2匹は約300グラム。1匹目は小さかったが、3匹とも生後3週間くらい、健康状態は良好だった。三毛猫が2匹、ミケ柄の入ったキジトラが1匹、みんなメス猫だった。

運命の出会い

山田さんは4匹の猫を飼っていた。オスが3匹、メスが1匹、みんな保護猫だった。仲良く過ごしていたが、2年半前、7か月の間に立て続けに3匹のオス猫が亡くなった。別れが辛くて、もう絶対に猫は飼わないと決めていた。

最後に残った18歳(当時)のメス猫ララが、いまでも平穏に暮らしている。かつてお母さんとは、愛猫達の写真を見ながら「三毛猫や靴下ニャンコはウチにはいないな」と話したことがある。亡くなった3匹の猫達は白、白黒、茶トラだったが、今回保護した3匹の子猫はすべての色を伝授。しかも靴下ニャンコもいる。

「保護した子猫たちは母の生まれ変わりなのか?偶然の出会い?いや、この出会いは運命に違いない」と、山田さんは思った。

獣医師の患者さんの中に、三毛猫の里親になりたいという人がいた。しかし、姉妹が離れ離れになるのはかわいそうだし、どの子を里子に出すのか選ぶのも辛い。

「先住猫ララを入れると全部で4匹。前までと数的にはいっしょ。何とかなるだろうと思い、このままうちで飼おうということになりました」

お転婆3姉妹

先住猫ララちゃんは、腎臓病を患っていた。1日おきの点滴が欠かせなかったが、それ以外は健康で、静かな余生を過ごしていた。しかし、いきなり子猫3匹がテリトリーに侵入。かなりのストレスだったのか何度も吐いて、慢性胃腸炎になりポリープができた。「こりゃいかん」と、3姉妹をしばらく隔離(ゲージ飼育)して育てることに。それからしばらく経って状況が落ち着き、先住猫ララも少しずつ新参3姉妹を受け入れた。時間はかかったが今ではすっかり仲良しになったという。

3匹の子猫に名前をつけたのは夫だった。先住猫はララ、めんどくさいので全員ラ行にしようとラムちゃん、リリちゃん、ルルちゃんに決定。

3姉妹だからおしとやかに育つだろうと期待したのが大きな間違いだった。みんなマットをかじって食べ、猫のくせに水が好きで、台所のシンクにいつも入るなどかなりのおてんばだった。三毛猫のラムちゃんは、ビニール袋や牛乳パックなどをゴミ箱からでも引っ張り出して食べてしまう。かじったマットが腸に詰まって腸閉塞になり、手術をしたこともある。キジトラのリリちゃんも、虫でもなんでも口に入れる。運動神経抜群なのでハチを両手で捕まえて肉球を刺されたり、高いところから飛び降りて脚をくじいたり、すでに3回も獣医師の世話になった。

「天国に逝った歴代ニャンコたちがいかにおとなしくていい子たちだったのか痛感しました」

6匹全員がメス猫に

3姉妹を保護して飼い始めた頃、ベランダの柵をよじ登ってごはんを食べにやってくる地域2匹の地域猫がいた。しばらく見守っていたが、交通事故に遭うのを見るのは忍びないと、2019年10月、満を持してに家猫化作戦を実行。2匹も姉妹だった。ラムちゃんたちより1歳年上。山田家は、6匹のメス猫所帯になり、まさにニャンコの女子高という感じだった。

6匹所帯になってはや一年。小さな命を預かる限りいろいろ大変なことはあるが、それ以上に猫たちから得られることは多いという。

「笑顔が絶えない、浄化してもらっている感じ、猫は癒しです。不幸な猫が世の中にいなくなるよう、目の前のできることをやっていきたいと思います」

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