東日本大震災で被災した夫婦がどうしても飼えなくなった猫 友人宅にもらわれて幸せに

渡辺 陽 渡辺 陽

サリコちゃんは、福島県に住む夫婦が保護して飼っていたが、2011年の東日本大震災で被災。遠方への引っ越しを余儀なくされ、猫を飼えなくなった。東京都に住む石井夫妻の夫は、ずっと猫を飼うのに反対してきたが、サリコちゃんなら飼ってもいいと言い、家に迎えることになった。

 

東日本大震災で被災し、飼えなくなった猫

東京都に住む石井さんは、福島県に住む夫婦Kさんと趣味を通じて交流していた。K夫妻は猫を飼っていたが、その猫が嵐の夜に連れて来た三毛猫の女の子の猫も保護して飼っていた。推定生後3カ月だった。名前はサリコちゃんと言った。2011年、K夫妻は東日本大震災で被災して、青森に引っ越すことを余儀なくされ、猫を手放す決意をして、福島県近辺で里親を探し、何度か里親希望者と猫のお見合いをしたが、なかなかうまくいかず困っていたという。

石井さんの妻は、以前から猫を飼いたいと思っていたが、夫が了承せずあきらめていた。しかし、夫も「サリコちゃんなら飼ってもいい」と言ったので、譲渡してもらうことになった。

震災のショックと環境の変化

石井夫妻は、福島県まで車でサリコちゃんを迎えに行った。家に着いてからは、ずっとびっくりした顔をして隠れていた。石井さんは、家も飼い主も変わったので、サリコちゃんが不安だと思ったので、夫婦共に多めに休みを取って、サリコちゃんと一緒にいるようにした。

「震災地震で部屋の中で家財が飛ぶ中でかなり怖い思いをしたのに、環境や飼い主まで変わってしまった彼女の不安は、今思っても涙が出ます」

 一緒にいると、サリコちゃんは少しずつ甘えてくるようになり、今ではべったりだという。

不安でいっぱいの後輩猫を慰める

サリコちゃんはやんちゃな面もあるが、品のある礼儀正しい猫だった。大事に育てられてきたからなのか、自分のことを猫ではなく、人だと思っているようだった。

2匹目の猫、小麦ちゃんを迎えてから分かったのだが、サリコちゃんは人は好きだが猫はイマイチなようだった。

石井さんは「福島でのお見合いがうまくいかなかったのも原因だったのかもしれないと思い、かなり慎重に慣れさせました」

サリコちゃんの相棒には大人しい子がいいと思って探したので、徐々に慣れて許してくれた。

サリコちゃんは何か要求をする時、人の顔に肉球を当て、爪を少しずつ出してアピールする。人が大好きなので、どんなお客さんが来ても挨拶するという。

後から来た猫が鳴いていると、サリコちゃんは初めて会ったのに、猫に寄り添い、膝に手を置いて元気づけていた。それほど猫が好きなわけではないが、優しく接している。大病を患うこともなく、2020年、16歳になった。

 

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