ひげがない…虐待されて捨てられたハチワレの子猫 先住猫や犬たちが親代わり

渡辺 陽 渡辺 陽

レイちゃんは、ひげを切られた状態で捨てられていた。薬品臭もしていて、明らかに誰かに虐待されたようだった。兵庫県に住む三浦さんは、1年前に保護猫を迎えてから保護猫について勉強し、縁があったら保護猫を迎えたいと思っていたところ、レイちゃんと出会った。

 

縁があれば保護猫を迎えたい

三浦さんは、2020年9月、生後2カ月ほどの捨て猫を家族として迎え入れた。ちょうど1年近く前、野良猫を保護したことがきっかけで、保護猫に関する情報をたくさん目にするようになり、保健所で殺処分される犬猫のうち半数以上が子猫だという事実に大きなショックを受けた。「猫を迎えるなら保護猫を」という思いが強くなり、里親募集中の子猫の情報を時々目にしていた。

三浦さん宅には2匹の犬と3匹の猫がいたが、1年前に保護した子猫が無事に大人になったため、縁があればまた保護猫を迎えたいと思っていた。そんな折、偶然にも近くで猫の保護活動をしている人が里親募集している記事を見つけ、連絡を取った。その後、兵庫県で保護猫活動をしている「チーム命の輪」の代表Oさんの家に行き、たくさんの保護猫の中からハチワレの子猫を迎えることにしたという。

虐待して捨てられた子猫

Oさんによると、ハチワレの子猫は、たった1匹で捨てられていた。ひげを短く切られ、身体中に薬品臭のする汚れがついていたという。虐待されて捨てられた可能性もあり、三浦さんは「この子を絶対に幸せにしたい」と思った。

「猫なのにひげがほとんどない状態で、ビックリしました。保護された時から人慣れしていたらしく、もともと飼い猫だった可能性が高いと思いました」

たった1匹で捨てられていた子猫を大切な家族の一員として永遠の愛で幸せにしてあげたいという思いから、ハワイ語の「レイ」という名前にした。ハワイのレイには愛する家族や永遠の愛という意味がある。

Oさん宅で、たくさんの猫たちと同居していたので、レイちゃんは、三浦家の先住猫たちに対面しても平気だった。ただ、犬を見るのは初めてのようで、身体中の毛を逆立てて威嚇した。先住猫たちの様子は皆それぞれ。ボス猫エルくんは、すぐに教育をはじめた。厳しくしつけながらも優しく包み込んでくれる。エルは三浦家のボスとして“君臨”している。雌猫アメリちゃんは母性の強い子なので、レイちゃんをとても可愛がった。1歳になって間もないノアちゃんとは歳の近い兄弟のような関係だ。犬の存在にもすぐに慣れて一緒に寝るようになった。

人懐っこく、明るい子猫

たった1日で三浦家の環境にすっかり慣れたレイちゃんだが、今後を楽しみにしていた矢先に病気が判明した。三浦家に来て3日目、食欲がなく咳をしていたため動物病院に行った。三浦家に来る前から猫風邪に感染していたらしく、子猫の場合、食欲がなければ危険な状態になると言われ入院することになった。幸いにも薬が早く効いたようで、翌日には退院した。しかし、結膜炎で目は腫れ上がり、先住猫たちとも隔離した。1日2回の投薬と1日4〜5回の点眼薬でなんとか完治したと思っていたら、今度は猫カビが発覚。現在も治療中だ。

「野良猫や捨て猫は病気を持っていることが多く、覚悟が必要です。それでもやはり、保護猫を1匹でも多く幸せにしてあげたいと思います」

レイちゃんは、とても人懐っこく明るく元気な性格。まだ生後3カ月くらいなので、三浦さんは今後の成長を楽しみにしているという。子猫は無条件に可愛く、子猫を迎え入れてくれる先住猫たちの優しさに感動し、愛しさが増した。犬猫たちを含め、家族みんなで子猫を育てているようだ。

三浦さんは、「ペットショップに行く前に、保護犬や保護猫をお迎えするということを選択肢に入れてもらいたいと思います。ペット業界の事実をたくさんの方に知っていただきたく、同時に日本のペット業界の規制をもっと厳しく取り締まっていただきたいと切実に思います。小さな命が人間の手によって消されていく…そんな悲しい出来事がなくなることを願っています」と言う。

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