老舗弁当屋が駅弁「本格派ビーフカレー」を誕生させたワケ 明治22年創業の井筒屋に聞いた

浅井 佳穂 浅井 佳穂

 鉄道の旅で楽しみの一つが駅弁です。地域ならではの食材を用いたり、彩りに趣向を凝らしたりした弁当が多く販売されています。滋賀県米原市の米原駅では、このほど斬新な駅弁が発売されました。その名も「本格派ビーフカレー」。え、カレー!?さらには「駅そば」ならぬ「駅カレー」の店も出店としたとか。手掛けているのは、米原駅前に本社を置く「井筒屋」。なぜ今、カレーなのか。その狙いを聞いてみました。

 井筒屋は、1889(明治22)年の米原駅開業と同時に駅弁販売を始めた老舗です。現在は、新幹線と在来線の駅構内で駅弁の販売や駅そばの提供などを行っています。その老舗が今年8月に販売を始めたのが、「本格派ビーフカレー」の駅弁です。

 老舗駅弁店とカレーは一見結びつかなさそうです。どこに接点があったのでしょうか。実はカレーライスは、かつて経営していた駅そばの店で1日5食程度の限定で出され、ひそかな人気メニューだったと言います。そのカレーを「復活」させたという訳です。

 カレーは、ホテルの料理長を務めた経験もある井筒屋の調理顧問中嶋清さん(64)が開発したそう。タマネギやニンジン、ジャガイモなどの野菜を多く用い、大鍋でじっくりと煮込んでいると言います。東海道新幹線上りホームで販売しており、購入時には店員が温めてくれます。

 しかし、車内にカレーを持ち込むのにはちょっと勇気がいりそうです。でも、大丈夫。井筒屋は、9月30日に米原駅西口にカレー専門「IZUTSUYAカレーのお店」をオープンさせました。

 「カレーのお店」の場所には3月まで、井筒屋が経営し、そばやうどんを提供するお店がありました。実はこのそば店こそが、5食限定のカレーを出していた店でした。即日完売の連続だったカレーライスを多くの人に味わってもらおうと、井筒屋は専門店を開きました。

 カレーのお店はカウンターのみの6席。ビーフカレー、海老フライカレー、ロースカツカレー、ふわとろオムレツカレーの4種類のカレーが味わえます。スパイシーな香り漂う店内で、中嶋さんがおいしそうに目の前でカレーをさらに盛ってくれます。

 井筒屋の林秀行取締役(53)は「駅弁屋が作るまじめなカレーと評判です。ぜひ、旅の途中に立ち寄って一息つきながら味わって食べてほしいです」と話します。

 駅弁のカレーは850円、カレーのお店のカレーは850~950円です。カレーのお店の営業は水、木、金曜日の午前11時~午後4時の限定営業で、ちょっとレア度高めです。

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