懐かしい味の名店「かづ屋」…覆面パトカーでの帰り道に発見! 30年通う元刑事が「潜入捜査」

ラーメン刑事(デカ)取調メモ

小川 泰平 小川 泰平

 元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏は年間500杯以上も平らげるラーメン通として知られ、テレビ番組で「ラーメン刑事」のコーナーを持ち、英国航空や中華航空など国際線5社の機内映像では自身の食レポ「ラーメン捜査」が流されている。小川氏が当サイトにお勧めのラーメン店を紹介する。

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 私が30年通う、東京・下目黒の支那ソバ「かづ屋」をご紹介します。オーナーの數家(かずいえ)豊さんは、浜田山の名店「たんたん亭」で6年間修行し、平成元(1989)年6月28日、 目黒区下目黒で「かづ屋」をオープン。この道38年の「巨匠」です。

 平成2(1990)年、私が県警本部刑事部機動捜査隊の時に「覆面パトカー横浜217」で初めて訪れました。30年前のことです。警視庁の機捜の分駐からの覆面パトカーでの帰り道、「かづ屋」を見つけました。班長に「飯、ここにしませんか?」と声をかけ、「うまいのか?」「いや、初めてなんですが、うまそうな感じしませんか」等と話をして店に入りました。店構えが、美味い雰囲気を醸し出していたんです。

 定番「支那ソバ」(現在は税込820円)を注文。一口食べて、2人で顔を見合わせ、班長が「タイヘイ、当たりだよ!」と言ったのを今でも良く覚えています。その日以来、班長とは非番の日に自宅とは逆方向の目黒に何度も何度も通いました。私は通い続けて30年目になります(笑)。

 昔なつかしい、醤油ラーメン。老若男女に好まれる味!カウンター 12席、テーブル席14席。9月7日の取材時点では、カウンター席にはつい立てを置いて、ソーシャルディスタンスを保っていました。

 スープは、まろやかな鶏の味と魚介の香りが…。「豚も入ってますよ!」とオーナーの言。臭みは全くない。鶏、豚、さば節、カツオ節、昆布が入っているとのこと。鶏も豚も、国産だがブランド鶏等ではない。生のフレッシュなものを使っている。冷凍は絶対に使わない。

 チャーシューは、煮豚ではなく、焼き豚である。味付けが気になる。焼き豚の味付けを聞くと、「当ててみて下さい」とご主人。「醤油、みりん、日本酒…ですか?」「日本酒じゃないんです。紹興酒と香味野菜、それと… 」「まだあるんですか、それをぜひ知りたいですね。」「えっ、それも言うのですか… まぁ、話しますよ、蜂蜜です」と全て話して下さった。「完落ち」である(笑)。

 もう1つポイントがありました。「支那ソバ」のチャーシューはモモ肉、「チャーシュー麺」のチャーシューは肩ロースだそうです。私は30年間、全く気がつかなかった。

 麺は中細のストレート麺。麺は自家製麺で店内奥の製麺室で作業を行っています。自家製麺ですが、麺帯の状態で1日寝かせます。麺の状態にカットしてからではなく、カットする前の麺帯の状態で寝かせるわけだ。

 まずは麺についての取り調べ。小麦は日穀製粉の「牛若」を使っている。中細麺だが加水率40%の多加水麺である。子供がゆっくり食べても麺が伸びにくい。麺の量は150~160gと多めだが、すいすい入ってしまう。

 もう1つ、特記すべきことは、オーナーのご主人と、店長の見事な「麺さばき」です。見ていて惚れ惚れします。昨今、「テボ」を使うラーメン店が大半であるが、「かづ屋」は「平ザル」を使い、麺を広くゆっくり泳がせている。上げる時は一瞬で!本当に見事な「麺さばき」熟練の技である。この原稿を書いているうちに、また「かづ屋」に行きたくなってきました。

【取調メモ】
店 名・支那ソバ「かづ屋」
所在地・東京都目黒区下目黒3-2-4
最寄駅・JR目黒駅から徒歩10分
定休日・年中無休
営業時間・11時-23時(LО22時30分)
電話番号・03-6420-0668
スープ ・鶏、豚、さば節、カツオ節、昆布で出汁を取った醤油ベース
麺・中細ストレート麺

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