倒れた看守を受刑者が救助→1カ月後…同じ刑務所でまた受刑者が人命救助していた

今井 悠乃 今井 悠乃

 みなさんご存じでしょうか?7月10日、米ジョージア州のグイネット郡刑務所で、勤務中に意識を失い倒れた看守のホブスさんを助けようと救助を呼んだ3人の受刑者が、アメリカのメディアで話題になりました。それから約1カ月後、なんと同じ刑務所で別の看守、パトリック・エドモンドさんが心臓発作を起こし、またもや受刑者たちが救助に駆けつけたのです。

 アクシデントが発生したのは8月16日。巡回中に何度も同じ言葉を繰り返し、持っていたブランケットを床に落としたエドモンドさんを見て、近くにいた受刑者たちは「何か様子が違う」と気づきました。監視カメラの映像から、フラフラと立っているのもままならない状況が伝わってきます。エドモンドさんは心臓発作を起こしていたのです。

 受刑者たちは、すぐにエドモンドさんを椅子に座らせ、警察無線や大部屋の電話を使って、救助を呼びました。隣部屋の看守に状況を知らせようと、壁やドアを何度も強打する受刑者もいたそうです。この模様がメディアに取り上げられ、反響を呼びました。ちなみに、その後のエドモントさんはヘリで救急搬送され、無事治療を受けることができたといいます。

 現在、エドモンドさんは自宅で療養中。代わって広報担当のボルコダブさんにお話を伺いました。

―主に受刑者たちが犯した罪は?
 強盗罪、銃刀法違反や麻薬関係です。

―看守と受刑者が何らかの関係を築くことはよくあることでしょうか?
 受刑者の居室を巡回する看守のシフトは1日12時間。一緒に過ごす時間が長いため、看守の多くは受刑者のメンター的な存在になったり、人生において正しい選択をするようにアドバイスしています。

―警察無線を使って救助を求めた受刑者もいたとか。無線の使い方は簡単なのですか?
 勤務中、看守は常に無線を付けています。受刑者たちはエドモンドさんが無線を使うのを何度も見たことがあるので、使い方が分かったのでしょう。

―救助に駆けつけた受刑者たちに、ご褒美として映画とピザが与えられたと聞きました。どんな機会に映画を観れたり、特別な食事が出されるのですか?
 毎週、居室点検で最も優秀な受刑者は、週末に映画を観ることが許されています。クリスマスやサンクスギビングなどの祝日には特別な食事が出されますが、ピザは格別なご褒美ですね。

  ◇  ◇

 エドモンドさんは健康で若い男性ですが、受刑者たちの素早い対応がなければ「命を失っていたかもしれなかった」と担当医は言います。困ったときはお互いさま。ユニホームや囚人服に関係なく、同じ人間として助けに出た受刑者たちの姿から学べることもあるのではないでしょうか。全米で人種差別問題がまん延する中、今回のような出来事が互いを理解する機会になるといいですね。

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