線路に挟まり列車止めるカメ いったいどこから? 専門家に聞く

山陽新聞社 山陽新聞社

 岡山―高松を結ぶJR瀬戸大橋線で7月中旬、線路のポイント(分岐器)にカメが挟まって信号機が赤のまま変わらなくなり、ダイヤが乱れるトラブルがあった。「カメはどこから線路に入ってきたの?」。このニュースを知った小学生の男の子からこんな疑問が寄せられた。そこで専門家の見解も交えながら“謎”に迫った。

 トラブルは7月20日午前、備前西市駅(岡山市南区西市)で発生。列車の進路を切り替える分岐器に1匹のカメ(体長約20センチ)が挟まって装置が動かなくなったのが原因で、上下22本の列車に運休や遅れが生じ、約2500人に影響した。

 今月6日にも、津山線弓削駅(岡山県久米南町下弓削)でカメが原因とみられる信号機の不具合があった。

 JR西日本岡山支社によると、カメが運行の支障になったケースの正確なデータはないが、年に数件はあるという。昨年は伯備線布原駅(同県新見市西方)で2件起きている。

 なぜ、カメが線路に入り、分岐器に挟まるのか―。かつてトラブルに悩まされていた奈良県内のJR線の対策に携わり、カメの生態に詳しい岡山理科大(岡山市北区理大町)の亀崎直樹教授(動物学)の説明はこうだ。

 カメの侵入経路は、ずばり「踏切」。横切っている途中で線路内に落下し、両側のレール(高さ15センチ程度)を自力で乗り越えられないため、沿いながら移動する。やがて分岐器にたどり着き、動いてきたレールとの間に挟まってしまうという。

 備前西市駅の分岐器は、ホームから南へ約350メートルの地点にある。そこから数十メートル南に踏切があり、すぐ近くを用水路が流れている。現地へ行くと線路脇には草が茂り、用水路にはカメの姿も。ここから侵入したのではと容易に想像がついた。

 亀崎教授らが奈良県で取り入れた解決策は、“落とし穴”の設置。踏切から落ちたカメは分岐器に向かって進む行動パターンを捉え、装置の手前にコンクリート製のU字溝を設け、そこにカメを落下させる仕組みだ。

 JR西によると、五位堂駅(奈良県香芝市)では2015年の設置以降、近畿地方でも有数だったトラブルがなくなった。同県内にある他の2駅にも導入。年間約10匹のカメが保護されている。

 カメによるトラブルの背景には、生息数の増加も要因とみられている。国内では近年、外来種のミシシッピアカミミガメが急増。各地で野生化、定着が進み、環境省が16年に公表した推計値で、国内の生息数は約800万匹に上っている。

 カメは5~8月ごろが繁殖期で、産卵場所を探して移動が活発になる。亀崎教授は「カメの個体数が増える中、トラブルがどこで起きても不思議ではない」と指摘。JR西日本岡山支社は「他県の事例を参考に対策を検討している」とし、今秋にも県内の駅にU字溝を取り付ける方向で準備を進めている。

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