どしゃぶりの雨の中鳴き続けていた子猫 ひどい猫風邪で一時は命の危険に…懸命の看病で元気になる

渡辺 陽 渡辺 陽

中津留ちゃちゃちゃんは、どしゃぶりの雨に濡れそぼっていた。保護されて一命を取り留めるも、保健所に連れて行かれる可能性もあり、そのことを知った人が里親になった。猫風邪をひいていて思いのほか具合が悪く、「死ぬかもしれない」と思われた。

濡れそぼって弱っていた子猫

2020年5月、福岡県に住む中津留さんの友人は、自宅の裏にある田んぼで鳴き続ける猫の声を聞いた。外はどしゃぶりの雨。鳴きやまない猫が気になって田んぼまで見に行ったという。探してみると1匹の子猫が雨に打たれていた。見るからに弱っていた。しかし、友人は猫を飼っていて、それ以上飼うことはできなかった。いったん帰宅したが、放っておくと死んでしまいそうなので、引き返して保護したそうだ。

雨に濡れた子猫は小さく、元気がなかった。すぐに友人は里親になってくれる人を探して親戚や友人に声をかけた。中津留さんも「猫を飼ってくれないか」と言われたが、実家で飼っているミニチュアダックスフントのマリアちゃんが、時々家に遊びに来るので引き取るのは難しいと思った。5月6日、近所の居酒屋で友人と飲んだ帰り、友人を家まで送ることになり、成り行きで猫を見せてもらうことになった。

保健所に連れて行く

子猫はよちよち歩きで、片目が開いていなかった。抱き上げるとじっとしていた。

「友人は、里親がみつからなければ保健所に連れて行って里親を探してもらうと言っていました。1年間預かってくれるというのです。でも、野良猫だし、殺処分されてしまうかもしれない。5月6日は、パートナーの誕生日でもあったので運命を感じ、私が里親になることにしたんです」

福岡県のホームページには、「迷い犬、迷い猫を保護したが自宅で保護できない場合、落とし物として警察に届け出た上で動物愛護管理センターに連絡し、引き取りを依頼する。警察やセンターでは、引き取りを拒否することもあり、引き取っても殺処分する場合もある」と掲載されている。

中津留さんは、子猫をちゃちゃちゃんと名付けた。

「ちゃちゃは弱々しく、猫を飼ったことがないので育てられるかどうか心配でした。自営業なので時間の融通をつけやすく、面倒をみられるので飼うことを決意しました」

一命をとりとめる

翌日、動物病院に連れて行くと、猫風邪をひいて両目が閉じているのだと言われた。生後1カ月くらいだったのに体重は400gしかなく、しばらく回復するまで療法食を食べさせることになった。家に連れて帰ってもぐったりしていて、目頭や瞼の裏が腫れていた。一週間経ってもあまり良くならず、再び病院に行くと薬が変わった。

3日後、鼻詰まりがひどく、あまりにも呼吸がしづらいようだったので夜間救急病院に電話したが、まだ診療が始まっていなかった。15分後、診療開始時刻になるとすぐに電話したが、「様子を見てもいいかもしれない。気になるようでしたら連れてきてください」と言われた。かかりつけの病院のほうがストレスにならないと思い様子を見たが、様子を見ているうちに少し楽になったようだったので、そのまま家で見守ったという。

翌朝、心配した中津留さんが別の動物病院に連れて行くと、入院させたほうがいいかもしれないと言われ、別の薬を処方された。

「入院させたら最善の医療を受けられるかもしれません。でも、病院で寂しく死なせたくないと思い、私が家で最後まで看病することにしたんです」

ちゃちゃちゃんは、次第に元気を取り戻し、ちょこまか動き回るようになった。目は開かないかもしれないと獣医師に言われたが、なんとか治り、生活に支障はなくなった。いまでは犬のマリアちゃんが遊びに来てちゃちゃちゃんにちょっかいを出すと、猫パンチを繰り出すように。中津留さんの後をついて回って甘え、時折、窓辺に座って外を眺めているという。

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